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33話 ページ33

周りには血を流し倒れた呪術師。
その中で1人、ウィリック・ハグマンが腹部を押さえながらグルッペン達を見ていた。

「な、何故だっ?!…何故…ここを…!」

口から血を吹き出しながら疑問を口にする。

「手を出した相手が間違っていたな。ウィリック・ハグマン。」

そこへ1人の女が通る。

「カト…リーヌ…」

「ウィリックさん。」

グルッペン達はその場を後にした。
残ったのは2人だけだった。
カトリーヌは寄り添うようにウィリックの隣に座る。美しい白いドレスは真っ赤に滲んでいく。
それはさながら彼女の揺れる瞳を表しているかのようだった。

「ウィリックさん。私は貴方を愛していました。」

「カトリーヌ…何故ここに…」

「貴方が拾ってくださったあの日、私はとても感謝していました。」

カトリーヌは言う。
昔の思い出を語るかの如く。

「貴方は私に色んな色を、見せてくれましたね。」

真っ白で何もない。
何も映さない。
その中で貴方と言う色が現れた。

「それはまるで虹がかったかのように、素敵な時間でした。私が貴方の子供を孕んだ時も。式を挙げた時も。」

一生色褪せる事なく。
残り続ける一枚の絵だった。

「けど、あの時。」

貴方が今の子とは別の1番最初の子がお腹から居なくなった時、全てを察しました。
結局は貴方もそう言う目で見ているのだと。
けど構わなかった。
そんな扱いを受けていても貴方から感じる愛は本物だったから。

「かと…りーぬ…」

「もしも、来世があるなら…」

あの時のように。
日の光が少し指す美しいあのテラスで。

『カトリーヌ。君の髪色は美しいね。』

『私の、髪が…?』

『純白で、天使の羽の色みたいだ。』

大袈裟な褒め方に私は思わず照れてしまった。
実は、貴方の満月ような綺麗な髪色が少し妬ましい時もあったんですよ?
色のある貴方が綺麗で、私とは違う世界で生きていて。

それでも貴方は愛してくれた。
それが嘘だって構わない。
周りの人達は愚かだと語るでしょうね。
けど幸せと感じたのは私達だけが知るのだから。

もし、出逢えるのならば。

「ウィリックさん。愛してます。」

この色で生まれてきても私は構わない。

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作者名:更新不定雑飽子 | 作成日時:2020年1月3日 21時

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