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31話 ページ31

「トン氏か。そこを退け。」

「どかんわ。」

グルッペンは俺にそう言うが俺は退かへんぞ。
あいつが脅しに持っているのはハグマン家の夫人やった。アルビノみたいな見た目に鎖をつけていた。
まるで昔のグルッペンを見てるようやった。
人間など関係なく脅し、殺し、捨てる。
あいつの目がそうなっていた。

「退け。レイを見殺す気か。」

グッと引っ張りおった鎖に夫人は声を上げる。
俺は鎖に向かって銃を撃った。
助けた訳やない。
説得させるのに邪魔やったから。
それだけや。

「何をする。」

「それはこっちのセリフや。そんな悪党ずらさせて行く気か?」

「レイがこの先にいるんだゾ?!」

「今のお前は親父さんそっくりやわ。」

殴られそうにもなったが、胸ぐらを掴んで仕舞えばこっちのもんや。

「今の発言は、俺に対する侮辱か?」

「嗚呼、そうや。」

「今ここで、貴様を殺してもいいんだゾ。」

「殺せるもんやら殺してみいや。お前みたいなボンボン暮らしの奴が。」

そう言ってもグルッペンは殺すにも殺せんへんやろう。余程、仕込み武器を使って来たみたいやし。
顔に血が飛びっちっている。

「今のお前の姿は悪魔や。」

「何が言いたい。」

「今のまま救助に行ってみろ。レイちゃんはお前のことなんぞ信用せんぞ。今もこれから先も、ずーっとや。」

「離せ。雑談する時間など…!」

「離すかこのバカタレ!いっぺん冷静になったらどうや?!」

「俺は至って冷静だ!!」

「冷静じゃないな、焦ってるんや!お前は自分の娘が殺されそうになって焦ってる。それは分かるで、家族やからな。けど、今のままで行くな。」

「何が言いたい?!」

「やから言った筈や。今のお前は悪魔や。救いたいんやたその顔をどうにかせい。」

そう言ってやればグルッペンは意味が分かったのが、頭を抱えた。

「たった一人や…」

「おん」

「たった一人、家族として愛せるんや。他の奴らとは違って。」

「おう、そうか。ほんでどうする」

そう言ってグルッペンは夫人を見る。

「カトリーヌ夫人、この事について突入する前に何か吐き出すんだ。」

物言いは物騒やけれど、さっきよりはマシになった方や。

「あの子を…救いたいのなら彼を先に殺した方がいいわ。どうせ、彼も<また>この子を食べるのよ。それだったら、先に殺して頂戴…」

自身の事か、それとも夫の事か。
懇願するように夫人は言いおった。

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作者名:更新不定雑飽子 | 作成日時:2020年1月3日 21時

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