純白の天使 (ページ22)

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22話ページ22

目が覚めたらそれはクレヨンで塗り潰したみたいに真っ暗な部屋だった。覚えてる。
寒くて、冷たくて、硬くて…

『妹もあいしてるよ…』

『これから言う事を覚えておいて』

あの部屋と全く同じ。
怖い。怖くて怖くてたまらない。
カトリーヌさんは？
パパは？
トンは？
まんちゃは？

みんないない。

「お、餓鬼が目覚めたみたいだぜ。」

「んじゃ、報告してくるわ。」

「わかった。」

知らない男の人が目の前にいる。
怖かった。
足には鎖がついてた。あの時と同じ。

あの時と同じ、私は売られたんだ。
パパやママなんて…あの部屋のママとパパだけだった。

「うそつき……！」

血の繋がってない人が親なんて信用できなかったんだ。

いろんな思い出がグルグルと思い出す。
ポロポロと出る涙はそれでも止まらない。
ガチャンっと蹴られた音がする。
泣くなっていう意味だ。泣いたら殺される。
それでも溢れ出る。

「ごめんなさい…ごめんなさい…ゆるちて…」

やっぱり信じる事なんて出来ないよ、ママ。

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目が覚めればそこは別の場所だった。
当たり前だ。罠にはめられたのだから。
あの＜変な臭い＞のせいで適格な判断が出来なかった。それ程あの臭いに含まれている魔法の薬のせいだろう。

まんまと奴の口車に乗せられた。
トントンやオスマンは何処にいる？
レイは何処にいるんだ？

「お目覚めですか？総統閣下。」

「貴様…一体何が目的だ…！」

椅子に縛られているせいで身動きが出来ない。
クソッタレ。

「目的ですか？それは貴方が1番わかるでしょう。貴方だって私の妻を見て、理解したんでしょう？これは護衛なんですよ。」

確かにあいつの妻はレースの手袋越しからでも分かる程、アルビノの肌のように白かった。目は帽子で隠れて分からなかったが髪色を見て理解した。
そしてこの屑の目的も。

「娘は売らせない、貴様に食わせる訳にもいかないからな…！」

「その姿の貴方が何を言いますか…惨めだ！全く滑稽！」

だからどうか無事耐えてくれ。
この際、死んだって構わない。
出会った時に思ったんだ。
あいつら(両親)とは全く違う、レイなら娘として養子に迎え入れても良いと思った。

だから意地でも貴様を殺す。
ウィリック・ハグマン、その顔を覚えたゾ。