純白の天使 (ページ17)

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17話ページ17

俺の元いた故郷は達がバカ広い。その分ぐう無能の貴族の溜まり場のようでもあった。俺らみたいな平民は土地環境が悪い場所に集まっていた。
雪が降れば人一人は立ったまま埋められそうなほど積もり、近くに山はあって当たり前で雪崩もそうやった。誰かしら1人は死んでおった。

そんな暮らしを核が撃たれる前までは過ごしていた。けど、俺らが収入源みたいなよく分からん仕組みやったせいで電気やガスは通っておったけど制限があった。食料が尽きそうになると、必ず言うのだ。

「パンが無ければお菓子を食べれば良いじゃない」

マリー・アントワネットの如く、奴らは(貴族は)言いおった。憎むさ。苦労の苦の字も知らん奴にお菓子はあって当たり前みたいな異常識持ちの人間に。

金が無いと無駄に税金を上げる。
家畜から強引に豚を金を払わず持って行く。

「……」

餓鬼の俺はそれが相当憎たらしかった。
そんな奴らを殺せたらどんな爽快な気分になるのだろうと。

だからあの時。

「早く逃げろ！敵国だ！！」

「トントン！逃げるで！」

両親や友を核で殺された時は憎んだが、その分あいつらが居なくなったと思うとなんだかスッキリした。
あいつらはそんな呆気なく死ぬんやと。
初めてそう思った。嫌程手に届かん憎き存在が、俺らと同じ苦しみで死におった。

やから、グルッペンやオスマンに会った時もそう思った。嗚呼、コイツもいつか呆気なく死ぬんやと。
ボンボン育ちの屑野郎やとシンプルに思った。
書記長昇格も断ろうと思ったけど、俺はその呆気なく死ぬ姿を見たいと思った。

我ながら、歪んでいる。
それは嫌でも俺が自覚しとった事実。

だから大先生のあの無能さも、あいつが元貴族と気付くまではそない時間は掛かりはせんかった。
俺が聞けば奴はヘラヘラしながら言う。

「嗚呼、そうやで？トントンが思うような屑な貴族や。俺はな。裕福な家に学業と娯楽に飯、何やっても金で許される世界に、俺は居たで？」

ぶん殴ってやろうかと思った。
けど、それじゃあ俺が求めているのは違う。
だから見方を変えた。

元貴族の大先生ではなく、屑の女好きの大先生と。

だからオスマンもグルッペンも同様に見方を変えた。

JKのオスマンに戦争好きのグルッペン。

そうすれば俺らの距離は適度に保たれる。

「顔」

「ああ？なんや、オスマン」

「胡散臭い笑顔から貴族嫌いが滲み出とる」

「別にええやろ？それが俺なんや。」

一生墓場まで恨み続ける。