Emptiness behind the smile . 2 “名探偵コナン” “トリップ”

(５９)：Experience lesson 2 ページ29

「先生、楽器を吹く時に、暖かい厚みのある音を出したいんですけど、どうしたら良いですか？」




授業が始まる前、吹奏楽部で金管楽器を吹いている、と言う生徒が2人、私の元に質問をしに来た。
何でも、低音を出す時に音が汚くなり、厚みの無い薄い音になるらしいのだ。




「そうだね、息を吸う時、口の形ってどうしてる？」



「は、とか、あ、です」



「じゃあ、その口の形を、ほ、とか、お、の形にしてみて？
音程は低くなるけど、その分、厚みのある音になるよ」



「有難うございます！」




この中学校に研修生として通い、早二週間。
来週で、私はこの中学校ともお別れだ。
特に情は湧かないが、これが終わり、免許を取得し、大学を出れば私は教師になれるのだ。
因みに、組織内で手を回して帝丹小学校に勤めるつもりだ。

新一くんも、早いものでもう9歳だ。
今年度、20歳になる私が再来年、大学を出る頃には11歳。
はやい、早すぎる。
来週にでも、お家にお邪魔しようかな、なんて考えながら、指先でピアノの鍵盤に触れた。

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