第２４話 ページ27
第２４話
「家族が欲しいなら僕がなってあげよう」
「………え？」
「僕には君が必要だ。だが彼は…ショートには、君が必要な理由が果たしてあるのかな？」
「っ……」
焦凍さんに、私が必要な理由…。
そんな物、ある訳がない。焦凍さんはただ純粋に私を救おうと手を差し伸べただけで、明確なメリットは一切ないのだ。寧ろデメリットの方が多い。
「直ぐに決めてくれとは思わない。君にも心の準備が必要だろうから、週末の夜８時に○○公園で待っている。その時に君の答えを聞かせておくれ」
そう言って彼は鞄から封筒を取り出し私に手渡すと、ニコニコとした笑顔で去く。呆然と立ち尽くす私は少し俯きながら、家に帰ることにした。
＊＊＊
「A、ボーッとして大丈夫か？」
「え……あっ、すみません」
「何か悩み事あるなら言ってくれ」
その夜、私はあの白衣の男性のことが頭から離れず食事中だというのにボーッとしてしまっていた。焦凍さんも少し眉間にシワを寄せて私を見ていて、私は「大丈夫です…」と言って目を逸らす。
結局あの人は一方的に話して約束を取り付けて帰ってしまったし、私は何も言えなかった。週末の夜８時に公園か…連絡先も聞いてないから、ちゃんと行かないとあの人なら何時間でも待ちそうだ。
「はぁ……」
「…お前、本当にどうかしたのか？」
「えっ、あ…いえ、何でもないです」
いけない、焦凍さんに心配をかけてしまった。ただでさえ疲れて帰ってきてるのに、私のことで迷惑をかける訳にはいかない。
『あんな偽りの家族なんかじゃなく、僕の元へおいで』
ふと、彼に言われた事を思い出す。確かに私と焦凍さんは血も繋がっていなければ、出会って日も浅い。偽りの家族と言われても仕方の無い関係。
『ショートには、君が必要な理由が果たしてあるのかな？』
…そっと焦凍さんの顔を見てみる。彼はテーブルの向かい側で静かにご飯を食べながら、流れるテレビの音に耳を傾けていた。
必要な理由なんて、ないんだろうな…。
きっと私はあの白衣の男性の元へ行った方が、世のため人のためになるんだろう。こんな私を必要だと言ってくれて、迷惑をかけることしかなかった個性を素晴らしいと言ってくれた。
この先、そんな事を言ってくれる人は居ないだろう。だからこの勧誘はとても光栄な事で、素敵な事なんだろうな。
……私の答えは…────
．
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なんだよたけしビビってんのか(プロフ) - 全作品絵が本当に美しくて初めて絵で感動しました。また伏線が所々あってその上感動するなんて天才... (2021年5月23日 2時) (
レス) id: dfdea40777 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - タイトルの絵もなんかアニメ「ＰＳＹＣＨＯ-PATH」に絵柄が似てて感動。しかも、物語にもなんか感動した。 (2019年9月14日 0時) (レス) id: 2712192e09 (このIDを非表示/違反報告)
るみ - 終わり方最高です……！泣いた (2019年4月13日 21時) (レス) id: 4ab93c79dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾌｧｱｱｱｱ(プロフ) - 絵がちょくちょく入ってくることによりなんか映画のワンシーンでも見ている気になりますね (2018年9月8日 15時) (レス) id: 01f6b2b9ab (このIDを非表示/違反報告)
トミ - すごく吸い込まれるようなお話で…次を読むのが楽しいです。 (2018年6月30日 23時) (レス) id: 3237980cf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月29日 17時
