お隣さんが不審者なんですが【fj】 (ページ6)

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お隣さん、四日目。ページ6

「えっ！？本当ですか！？」

私は思わず目を輝かせてしまう。
彼の言う通り、一人で食べるのは寂しい。
しかもここはペット禁止だから、誰か人がいなければガチで一人なんだよね。

「え、あぁ、本当……京極さんがいいなら」

「良いですよ！食べましょう！私の分取ってきます！」

そう言って、私はすぐに自分の部屋のドアを開けた。ワンルームタイプの部屋で、キッチンは玄関を抜けてすぐの所にある。
放置してあった鍋から食べるだけの量のカレーをタッパーに取り分け、ご飯をぶっ込んだ。

あ、藤野さんの分もご飯持ってこ。
そう思ってもう一人分のご飯を取り分けて、計2つのタッパーを手に部屋を飛び出した。

また呼び鈴を鳴らせば、藤野さんはすぐに出てきてくれた。

「早かったですね。上がってください」

「失礼しまーす……」

部屋は比較的綺麗だった。
まぁまだ引っ越してきたばかりだからかな。
でも女の子の部屋と言われても頷けるほどシンプルで綺麗な部屋だ。

「えっと、まだ家具とか十分じゃないんですけど、そこのテーブルで大丈夫ですか？」

彼は居間の小さな机を指した。
私はもちろん頷く。

「いいですよ。全然大丈夫です」

私は机にタッパーを置いた。
そこで気が付いた。

「あ、やば、スプーン忘れて来た……」

丁度飲み物を持ってきてくれていた藤野さんの耳に、その声が届いていたらしい。
彼はにっこり笑って言った。

「大丈夫ですよ、うちので良ければ使って下さい」

「あ、ありがとうございますっ！優しいんですね」

ふふ、と微笑むと、彼は決まりが悪そうに目を逸らした。なんや嫌われとんのか私……
藤野さんはスプーンをふたつ持ってきて、ひとつを私に手渡した。
彼と向かい合って座る。

まだ夕飯の時間には少し早いんだけどね。

「あ、そういえばご飯持ってきましたけど要りますか？」

「要ります要ります！ありがとうございます！」

物凄い勢いで首を縦に振られ、若干ビビりながらタッパーを差し出した。
それから2人で手を合わせ、同時に『頂きます』と挨拶をした。

ひと口食べたところで、藤野さんが目を輝かせる。

「えっ、めっちゃ美味いっ！！京極さんすごい！」

その反応がなんだか子供みたいで笑ってしまう。
ありがたいんだけどね。

「へへ、ありがとうございます。今回のは上手くいったんですよ」

自慢げに言うことでもないけど。
それでも自分の料理で喜んで貰えて嬉しかった。