お隣さん、十二日目。 ページ14
＊Kiyo side＊
今日は、フジとヒラと実況を撮る日。
こーすけは生憎都合がつかなかったが、
フジとヒラは快諾してくれた。
翌日、俺は早めに最俺ハウスに向かい、撮影の為の準備を進めていた。
本当は機材などの準備は俺とフジの担当だが、昨日は夜に連絡してしまったし、今電話して無理やり来させるのも気が引けるので一人で準備していた。
あらかた準備が終わったところで、玄関の方でガチャリとドアの開く音が聞こえた。
玄関に向かってみると、そこにいたのはヒラだった。
「あっ、キヨ、早いね。ごめんね俺遅くって」
「いいのいいの。むしろ急に連絡したのに来てくれてありがとな」
「俺も暇だったし大丈夫。フジは？」
「フジ？あぁ、まだだけど」
そう答えると、『ふぅん』とだけ返し、ヒラはリビングに荷物を置きに向かった。
ヒラが来てからしばらくした頃。
恐らく、待ち合わせの9時半の10分程前だろうか。
ドアの開閉音がした。
「遅かったじゃんか」
こいつにしちゃあ珍しいかもしれない。
別に怒ってるつもりは無いが、フジは答える。
「すまん。でも遅刻してないだろ」
逆に怒ってんのかこいつ。
『まぁな』とだけ返し、俺は実況部屋に戻った。
少しして、ドア越しに、リビングの方から話し声が聞こえた。フジとヒラの声だ。
もう準備は済んだし、あの二人を呼びに行こう。
そう思ってドアから顔を出すと、丁度二人がいた。
「二人とも、早く実況撮ろうぜっ！」
そう言って笑えば、二人も微笑んで頷いてくれた。
それから三人で実況部屋の各々の席に座り、実況を撮り始めた。
今日やるゲームは、特に有名でもないが、今面白いと密かに話題になっているゲームだ。
マイクをオンにして、録画を始める。
「やぁやぁみんな」
「どうも、ヒラです」
「どうもフジです」
いつもの挨拶から始まり、少しだけ雑談。
それから実況に入るいつものスタイル。
実況とは名ばかりみたいなところもあるけど。
「んぁ、なんだこれぇ？」
「え、意味わかんねぇ……なぁフジ？」
「……」
「……フジ？」
「えっ！？あぁ、何？」
軽く事故ったな。と思いヒラに視線を送れば、彼もまたそう思っていたらしく視線を送り返された。
俺は一度録画を停止した。ここはカットしよう。
「ちょっと、どうしたんだよフジ」
俺は横目でフジを見る。
心做しか上の空のようにも思えた。
悩み事か何かか？
様子がおかしいのは気の所為？
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作者名：緋奈香 | 作成日時：2019年8月13日 6時
