きゅんとしたら負け。

ムードメーカーver.関西弁 ページ36

「Aちゃん、おおおおおはよう」
「おはよう大樹くん？」
「あ、お前ら今笑ったやろ！笑ったやんな！な！」


彼は同じクラスの大樹くん。
クラスのムードメーカーで、アホっぽいけど頭良くて、優しくて。

そんな彼に、私は先週の金曜日の文化祭で告白されて、答えをお預けにしている。

好きな人とか全く考えたことなくて、初心者な私。

だけど少しづつ、大樹くんのことが気になってきてる私がいる。


「大樹くん緊張しすぎや」
「う、うるさいわ！」
「顔赤いで」
「はっ！？わ、ちょ、誰が鏡！」


女子から手鏡を借りて、「ホンマや」って顔を隠してる。

耳まで赤い、とは言ってあげない。

きっとこの角度からしか見えない、私の特等席だから。


「Aちゃん、意地悪せんで返事ちょーだい」

私はまだ、うーんと焦らす。
大樹くんに手鏡を貸した女の子の

「せっかちやんなぁ、嫌われるで？」
の一言で、大樹くんは顔をパッと上げた。
わ、単純や。
アホっぽいと言われる原因って間違いなくこれやろ。



「じゃ、ずっと…待ってる。」

「え？待てはできるん？おすわり出来へんのに」
「うるさい黙れ女子！あほ！」



大樹くんは、私に近寄ってきた。

頭一つ分違う身長差。
だけど、私にしか聞こえない声で



「ゆっくりでええから、いい方の返事待ってる」




にかっと笑うもんだから、私にも赤い顔がうつってしまった。

大樹くんのあほ。





◇

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