無口 ページ24
「でさ、その時○○ちゃんが〜……」
夜の11時くらいから毎日の恒例行事、大樹と通話大会。大会、なんてほどのものではないけど。
一方的に私が話して、それに彼が相槌を打つ、と言うのがいつものパターン。
だけどそれでもいい、と言って、毎日彼からかけてきてくれる。
でも、何だか今日は様子がおかしい。
相槌が聞こえてこないのだ。
普段無口な大樹でも、電話では少しお喋りになるのに。
「…大樹…聞こえる?」
確認を取ってみるも、返事は無い
「……電波かなぁ」
切るね、と伝えてから切って、またかけなおそう。そう思ったその時。
「…………ごめ、ちょっとボーッとしてた」
寝る前特有の、色気のある掠れ声。
可愛いな、なんて思ってしまうから、ボーッとしてたことなんか気にしない。
別にいいよ、と言えば、「ありがと」と、笑い声と一緒に聞こえてきた。
きっと、ふにゃーんとした笑顔なんだろうな、と想像するだけで会いたくて、キュンっとする。
「何か、俺ってAを不安にさせてる気がする」
「え?」
「……あんまり俺、自分から喋らないし…」
「……気にしてるの?」
「んー、まぁ。」
私は不安になった事なんて、一度もない。
だって、大樹は自分ではわかってないかもしれないけど、凄く声と顔に出やすいから。
逆に私だって、こんな話で面白いのかなぁなんて、私のことで不安になるくらい。
「私は満足してるよ」
「そっか」
「うん!」
「俺、Aの事だいすきだからね?」
「……うん」
彼に対しての不満を、強いていうなら、こんな風に急に大胆な発言をすること。
私の心臓がもたないから、勘弁して。
「明日も、話せる?」
ほら。
顔を見なくたって、明日の通話も楽しみにしてくれてるってことくらい、伝わってくるんだ。
( 今日はもう寝よっか )
( ……今日は、もうちょっと、、)
( (可愛い、、、) )
◇
無口
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名乗るほどのものである - めっちゃ面白いですね。だいすきで、いっつもみてます! (2018年6月22日 22時) (レス) id: 47d2a3a5e8 (このIDを非表示/違反報告)
ぐーるな - 『卑屈な先輩』がきゅんきゅんしてお気に入りです〜!というか、1話目からきゅんきゅんして…負けましたぁ!! (2017年7月26日 17時) (レス) id: 1b19e65de3 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー - ムードメーカーヤバイです!キュンっとしました! (2017年5月26日 22時) (レス) id: 1f7727a96e (このIDを非表示/違反報告)
雨飴(プロフ) - まさかの1話目で負けました、、、強すぎますよ (2017年5月26日 18時) (レス) id: 91eb9af7ae (このIDを非表示/違反報告)
江戸の兎 - 同じく、優男にやられました(チーン)でも、すごくきゅんと来ました!これからも頑張って下さい! (2017年5月19日 20時) (レス) id: 7c6ad326a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぐらたん。 | 作成日時:2016年2月21日 3時