お坊ちゃま ページ23
「Aさん!おはようございます!」
いつもの通学路
綺麗で大きな車から出てきた彼は、真っ先に私の方へ。
大きな会社のお坊ちゃまらしく、颯爽と駆け寄ってくる。
白馬に乗っていそうなイメージのある彼は、何故か私に、妙に懐いてくれているのである。
礼儀正しいし優しいし、顔だって凄く整っている。それに家は大きな会社を経営しているという完璧な人間。
「大樹さん、おはようございます」
「嫌ですAさん!私の事は大樹とお呼びください!」
「わかりました、大樹さん。」
「あはは、Aさん大好きです、是非私の家に_」
「大樹さん」
決して彼のことを嫌っているわけではない。
むしろ好印象しか持っていないし、今の状況だって凄く嬉しい。
だけど、何だか私なんかが隣にいるのは相応しくないと思ってしまって。
「大樹さんにはもっとお似合いな人がいますから」
こうやっていつも軽くあしらっているんだけど、今回それは効かなかった。
彼の表情から笑みが消えたその時
「それは、私は告白を断られたということなのでしょうか」
いいえ。
私だって貴方のことをずっと憧れて、見てきました。
告白なんてされたら、私は絶対に断りません。
しかしこれは、貴方が私と同じ世界に住んでいる場合のみ有効なのです
ふるふると首を横に振る
「……では、Aさんは私のこと、どう思っていますか」
どうしてこういう時にお手伝いさんが来てくれないのかな、とイラつく。
それと同時に、ドキドキと胸が高鳴る。
だって、私と貴方は住んでいる世界があまりにも違うから。
「私は、大樹さんのこと、 」
「大樹」
「大樹、が、すき」
振り絞って伝えたその瞬間、頭がショートしたみたい。
スッキリしたような、逆にもやっと隠れてしまったような、そんな感覚。
彼の顔を見てみると、明らかに普段とは違う表情。
赤く高揚した頬。
「可愛くて仕方ないです、抱きしめてもいいですか」
私は質問の答えを、ただ頷くことしか知らなかった
( 住む世界……そんな風に思っていたのですか )
( だって自信なくて、 )
( いずれ私と同じ生活をおくるのだから、世界は同じでしょう? )
◇
お坊ちゃま
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名乗るほどのものである - めっちゃ面白いですね。だいすきで、いっつもみてます! (2018年6月22日 22時) (レス) id: 47d2a3a5e8 (このIDを非表示/違反報告)
ぐーるな - 『卑屈な先輩』がきゅんきゅんしてお気に入りです〜!というか、1話目からきゅんきゅんして…負けましたぁ!! (2017年7月26日 17時) (レス) id: 1b19e65de3 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー - ムードメーカーヤバイです!キュンっとしました! (2017年5月26日 22時) (レス) id: 1f7727a96e (このIDを非表示/違反報告)
雨飴(プロフ) - まさかの1話目で負けました、、、強すぎますよ (2017年5月26日 18時) (レス) id: 91eb9af7ae (このIDを非表示/違反報告)
江戸の兎 - 同じく、優男にやられました(チーン)でも、すごくきゅんと来ました!これからも頑張って下さい! (2017年5月19日 20時) (レス) id: 7c6ad326a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぐらたん。 | 作成日時:2016年2月21日 3時