14 ページ16
-
「ただいま、牛乳買ってきたよ」
「おかえりー。白米あと15分だから待ってて」
牛乳を買って帰ると、リビングから声が聞こえてきた。
隣で靴を脱いでいた叶が顔を上げると、牛乳を受け取る閃ちゃんと目が合った。
「あ、君が叶くん?」
「初めまして、叶です。えーと」
「閃、葉月閃。よろしく」
「よろしくお願いします」
2人がにこにことしている中、俺は口角を上げられなかった。
その後、炊けた白米を皿によそいカレーの用意を。わーい、なんて喜ぶ叶の隣に座り、スプーンを握った。
「サーシャ、福神漬は?」
「いらない」
「はいよ、叶くんは?」
「あ、いりまーす」
カレーはいつも通り美味しいけど、上手く喉を通らない。
昨日の配信の記憶が蘇ってきて、表情が暗くなる。
いつもよりも時間をかけて食べ終わると、叶が口を開いた。
「よし、今日は3人で配信しよっか」
「……は?」
間抜けな声が思わず出た。昨日の今日なのに、何を言っているんだ。
「僕が葛葉と喋りたい。僕が閃さんと話したい。それだけの理由だよ」
じゃあ配信じゃなくてもいいんじゃないか、と言いたかったけれど、叶は俺のパソコンを勝手に使って配信の準備をしていた。
もう、どうにでもなれ。
-
374人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヨッコラセ | 作成日時:2022年9月7日 11時