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「どしたの、打ち合わせ?」
「あー、まぁ。もちさんも?」
「僕はろふまおの収録。まだみんな向こうにいるけど」
「や、いいっすわ。俺牛乳買って帰んねえと」
「あは、お使い?」
「…まぁ、お使い…」
買い物、ではなく、お使い。
少ししか違う言葉も、今の俺には棘のように刺さった。
俺が少し言葉を濁すと、もちさんは少し眉を下げた。
「あー…、あの、さ、僕はまた葛葉の配信見たいし、もっと話したいよ」
とびきり優しい声でそう言われてしまえば、俯くしかない。
あざす、と小さく返事をしては、逃げるようにその場を立ち去った。
少し遠くで社長や三枝師匠の声が聞こえたから、少しだけ足を早めた。
「…あっちい」
本社を出ると、再び頭を照らす太陽光。
今日の飯は冷たいもんがいいな。と思いながら、閃ちゃんに帰るとメッセージを送った。
「葛葉」
デジャブか。また名前を呼ばれた。
「…叶」
目に入ってきた顔は、たぶん、俺がにじさんじの中で1番信頼している人間だった。
「ちょっと時間ある?話そうよ」
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作者名:ヨッコラセ | 作成日時:2022年9月7日 11時