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翌日、玄関を開けるとあいつの姿はなかった。メモも何もなし、着信も、メールも、何も。



あいつと出会ってから、携帯の意味なんかまるでないほど鳴らなかった俺の携帯が喧しくなった。なのに、こんなに静かな携帯は2年振りだ。





「‥いいや」





テーブルの上に携帯を置いて、ポケットに手を突っ込んで家を出た。



特に用事もないけれど、どうせ休みなんだから引きこもってるよりましなんじゃないか。





「あれ、左馬刻じゃん、何してんの」



「あ?」





道端を歩いていると、そう声をかけてきたのは1人の男。その男には見覚えがある。



数年前、昔からやんちゃしまくっていた俺は、世間の偏見通りいろんな女をとっかえひっかえしてはヤり捨てしていた。その時、所謂複数プレイに興味があった友人に誘われ数人で行為をした。その友人というのがこいつ。





「久しぶりー、最後に会ったの2年くらい前?元気だった?」



「まぁ、そこそこ。お前何してんの」



「俺?俺は仕事帰り」



「仕事してんのかよ」



「してるよ。男優だけど」





‥男優、ああ、そういうDVDのね。





「ふぅん、いろんな女抱いてるわけ」



「いやぁ、女じゃねえのよ」



「は?」



「俺今さぁ、男専門なんだよね」





驚いた。女大好きだったこいつが。なんて感傷に浸っていると、俺の様子に何か気付いたのか、そいつは距離を詰めて声を小さくした。





「‥なぁ、お前‥男に抱かれた?」





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作者名:ヨッコラセ | 作成日時:2018年9月7日 23時

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