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「‥左馬刻、お前はまたか‥」
「おー、銃兎、いいから早く出してくれや」
「全く‥俺の仕事をこれ以上増やさないでくれ」
「いいじゃねぇかよ、別に。‥あ、なぁ、俺がとっ捕まった辺りに指輪落ちてなかったか?」
「指輪?ああ、これか。お前、アクセサリーなんてよく無くしてるのに」
「なんでもいいだろうがよ」
「なんだ、恋人でもいるのか」
「おー、彼氏。これ買ったときは指ぴったりだったのに、最近体重落ちたし指細くなったかも、抜けるようになってきた」
「へぇ、彼氏。じゃあ婚約指輪か何かか?‥は?彼氏?」
「6年前から、何か文句あんのかよ」
「や、別に‥」
あれから2年、25歳になった俺は相変わらず横浜にある家に2人で住んでいる。
‥まぁ、4年前と違って丸1日中一緒にいるようになったからたまに喧嘩もするけれど。2つの箸、2つの食器、2つの歯ブラシなど、必要なものはきちんと2つずつ。
俺はTDD解散後、MTCというグループを組み、仲間の銃兎、理鶯とだいたい行動を共にしている。
あいつはというと、27にもなってまだホストを続けている。限界まで働くと言っているけど、アルコールにやられそうだと最近は毎日ハラハラしている。
そして、2年前と変わったことが1つだけある。
俺と孝太郎の左手の薬指にはめられた指輪。特にこだわったデザインもなくて、お互いが持っているというだけでいい、と、あいつの提案だった。
指輪もネックレスもピアスもしょっちゅう無くしては探さず新しいものを買う俺にとって、生まれて初めて毎日つけていることを確認するようになったもの。
‥なんだか慣れないけれど、すごく幸せな気持ちになる。
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作者名:ヨッコラセ | 作成日時:2018年9月7日 23時