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「どう思う?」
「は?」
「さっきの話」
「話も何も、別に人の恋愛になんか口出さねぇだろ、普通」
「へー」
「‥なんか気にしてんのか?」
「別に?」
「あっそ」
屋敷を背中に、黄昏時の空を眺めながら寄り添って歩く。
結局、ジジイは俺の言葉を聞くなり、そうか、と一言だけ言って、それ以来話はしなかった。
帰り道、こうやって変な事ばかり聞いてくるけれど、その表情は穏やか。いずれはこいつの親にも挨拶に行かねぇとな、とは思う。
まぁ、それは落ち着いてからでもいいかなぁ、なんて思うけれど。‥将来を考えてる、なんて言ったら、こいつは驚くだろうか。
そもそも、将来なんて俺の口から言ったら似合わなさすぎるだろうな。
「孝太郎」
「えー?」
「もし‥、もしだけど」
「何?」
「‥俺が、お前との将来を考えてるって言ったら、どうする?」
ああ、本当に似合わねぇ。
少し気恥ずかしくて、こいつの顔が見られない。
俺は、今どんな表情をしてるんだろうか。
「おい、何か返事‥」
「‥あ、ちょ、ま、って‥」
「‥‥おい、え、お前もしかして‥」
「見んなって、あー、もうバカ!」
「え、まじか、泣いてんの?」
「あ?うるさ‥、お前だって顔赤いじゃん!」
無理矢理振り向かせたら、そいつの顔は赤くて、きれいな平行二重の両目は潤んでいた。なに泣いてんだよ、泣くようなこと言ったか?
歩いていくたびに人がだんだん多くなって、大の男二人が顔を赤くし合うなんてもん見せられたら、そりゃみんな見てくるよなぁ。
「なぁ」
「あ?」
「‥ケッコン、とか、する?」
「‥あー‥、それもいいかもな」
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作者名:ヨッコラセ | 作成日時:2018年9月7日 23時