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「左馬刻さん、煙草変なところに捨てないでって言ったじゃないすか」
「あん?うるせぇな」
「あ、左馬刻ぃ、僕ここ行きたーい!」
「うるっせぇ!勝手に行きやがれ!」
「車出してよぉ」
「嫌だ」
「飴村くん、車なら私が出してあげるから、左馬刻くんに迷惑をかけるのはやめなさい」
「ぶっぶー、何さ寂雷。構ってもらえなくて寂しいのー?」
「‥何を言ってるんですか」
碧棺左馬刻、23歳。孝太郎からの連絡は一切なく、俺の周りにはうるさい奴らが3人も増えた。
あいつの私物は今も捨ててないし、家だってそのまま。合鍵持ったまま出ていったし、きっとまだ持ってると思う。
‥まぁ、俺がまだ想ってるだけであいつはもうそんな気ないのかもしれないけど。
「‥帰る」
「え、左馬刻さん、帰るんすか?」
「帰るよ。‥おい、一郎、ついてくんなよ」
「えー、左馬刻さんの家気になるんで」
「あ、それ僕もー!」
「あ?ついてくんじゃねえよ」
「いいじゃないか、どうせなら、左馬刻くんの家で晩ご飯を食べよう」
「はぁ?先生何言ってんだよ、俺んち狭いしんな食材ねえっつうの。まず誰が作るんだよ」
「俺料理得意っすよ!」
「うるせぇな!うちは狭いっつってんだろ!」
「いいじゃんいいじゃん、ほら早く行こうよー!」
2年前から鳴らなくなった携帯の代わりに、耳元できゃんきゃんうるせぇのが増えた。
それだけでうるせぇなって思ってたのに。
2年間、ほぼ鳴らなかった俺の携帯が、懐かしい音を響かせた。
『会いたい』
その一言だけ、明るい画面にただ写されていた。
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作者名:ヨッコラセ | 作成日時:2018年9月7日 23時