12 ページ14
-
「なんか、最近お前大人しいな」
「あ?」
「前より刺々しくねえっつうか、なんか魂抜けてる?」
「何言ってんだ、お前」
あれから3ヵ月。同じ組に属す奴らに聞いたところ、孝太郎のような男は3ヵ月の間横浜には来ていないらしい。俺も前までは新宿に顔を出していたが、今ではさっぱり行かなくなってしまった。
煙草を吸う量も増えたし、なんだか毎日イライラしている。
「帰る」
「は?おい、左馬刻」
「うるせぇ、帰る」
3ヵ月前からまったく鳴らなくなった携帯は今もズボンのポケットの中にいつも入っている。
いつ、孝太郎から連絡が来るかわからないから。
「‥我ながら女々しいよなぁ‥」
そう思っても仕方ないと思っているけれど、なんだか俺らしくないなって思う。
2年前の俺だったら、絶対に人のことなんか考えなかったし、携帯が静かだということにこんな違和感を覚えなかった。
そうだ、帰りにあの不動産屋へ行ってみよう。いい部屋があるかもしれない。
同性だからなんだ、そんなの知らねえ。
「‥んだ、お前」
そんなことを考えて、ふと道の外れにある暗い道影を見つけた。
そこに座っていたのは、怪我をした学生くらいの年に黒髪の男。
いつもの俺なら絶対に声をかけないけれど、なぜか気になってしまった。
「碧棺左馬刻、21、お前は?」
「‥山田一郎、15歳」
-
116人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヨッコラセ | 作成日時:2018年9月7日 23時