episode156 友達だから ページ9
『……勿論』
想定していなかった台詞に一瞬動きを止めるも、Aはハンコックに顔だけ振り返り、当然のように肯定した。
「妾との取り決めを破ることがあれば、それは死に値する」
『おっとペナルティが手厳しいなぁ〜。……まあ、実質そうかもね。順序は逆になるかもだけど。』
契約違反による死か、それとも＿＿＿＿。
Aの言葉の意味が伝わったのか、ハンコックは俯き黙った。Aが彼女の返答を待っていると、
「何故じゃ」
ボソッと、しかし重く彼女は呟いた。
「何故そなたでなければならぬのじゃ」
激情で震えるハンコックの声を聞くのは、初めて会った時以来だった。
『…何でだろうね。私がOK出しちゃったからかな。』
この役目を、引き受けることを。
Aが困ったように笑うと、冷静さを保っていたハンコックの表情がとうとう歪んだ。
しかし何を言ったところで解決する訳でもなく、道が開けるわけでもなく。ハンコックはただ、やり場のない感情を無理矢理命令に乗せるしかなかった。
「＿＿＿＿必ず戻れ。仮にそなたが他の者の手で息絶えたとしても、その上で妾がそなたを殺す。妾なのじゃ。」
脅しのような台詞だが、まるで最初にして唯一の約束に縋るような。そんな風にAは聞こえた。
『…。うん、よろしく頼むわ。』
そう返すと、ハンコックはAの側を通り過ぎ、廊下の奥へと姿を消した。
夜中の4時半頃。Aは自室を出た。
結局あまり寝付けはしなかったが、トータルで5時間前後は横になれただろう。
あまりに落ち着かなさ過ぎて、ゴロゴロしながら同室のペローナに長いこと話し相手になって貰っていた。お陰様で変に脳を過労に追い込んだりはしなかった。
甲板に出ると、既に黙々と最終準備を進めている人達もちらほら。時間帯もあいまって、まさに嵐の前の静けさのようだった。
『……行くかぁ』
作戦開始直前だというのに何だこの気の抜けた独り言は。
そんな突っ込みを1人頭の中でしながら出口へ向かうと、人の気配が。
「ん、来たか。」
待機していたエースが帽子のつばをクイ、と上げた。
『お、びっくりした』
「びっくり？覇気持ってんだろ」
『や、あの、事前予告なにもなかったので…』
「まあな。言ってねェし。」
『エース達はもう少し後で出港だよね。』
「あァ、だから見送りに来た。」
『それはそれは…』
「……。」
そこから何故か、会話が続かなくなってしまった。
episode157 また君が此処に帰って来てくれるように。→←episode155 ボス戦前はセーブを忘れるな
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休暇を求める者(プロフ) - いぶきさん» 3ヶ月越しの返信で恐れ入ります…！ご感想ありがとうございます。エース推しとのことで、もう暫しドッタンバッタン最終章が続きますが、ぜひ以降の流れも楽しみにしていただけましたら嬉しいです。 (7月2日 13時) (
レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
いぶき(プロフ) - 最初からここまで読んできましたがとても素敵な作品でエース、サッチが生きてるお話が見れるのがとても嬉しいです！エース推しなので時々見れるきゅんシーン射抜かれてます！エースもイゾウもルフィも好きなのでたくさん見れて幸せです！更新楽しみにしてます！ (2023年3月29日 7時) (レス) @page18 id: d33577c241 (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - ンョョさん» 大変な高評価を頂いてしまった上に…しかも長くお付き合い頂いてるとのことでなんと御礼申し上げれば…？？？大変光栄です、ありがとうございます。正直読み返すとまだまだ怪しい所もありますゆえ、今後も精進して参ります…( ˘ω˘ ) (2023年3月6日 1時) (レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - 莉久さん» 遅ればせながら返信いたします。う、嬉しか〜〜〜〜〜〜！特に世界観の維持はとても気にしていた所なので、とてもありがたいです。今作の中心人物はほぼ全員登場してしまったのですが、終盤に色々企ててますのでぜひお楽しみに… (2023年3月6日 1時) (レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
ンョョ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。何年も前から読んでいる者です！ストーリーの根幹がすごくしっかりしていて、伏線の張り方や登場人物のなめらかな視点移動が読んでいて惚れ惚れするほど圧巻です…！いちファンの身ですが、これからも応援しております。 (2023年3月2日 0時) (レス) id: 795bb29f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：休暇を求める者
| 作成日時：2022年12月30日 3時
