異世界放浪者は海より山派。-雪解雨編- (四) [ONE PIECE]

episode155 ボス戦前はセーブを忘れるな ページ8

作戦開始前、最後の会議。

後から加入した2人の担当が正式に決まり、サッチは正面突破組、マルコは潜入組に入ることになった。
そう、マルコも潜入組の条件を満たしていたのである。

彼は唯一空からの特攻が可能ということで別枠を作る案も出たが、本人の強い要望によりこのような配置となった。なぜマルコが潜入組を強く希望したのかは、説明するまでもないだろう。

作戦開始は日が昇る前。
それまでに出来る限り休息を取れと、主治医からAへのお達しが。

『じゃあ、なんか紅茶でも飲むかな…』

「寝ろ」

『寝ろ！？』

こんな落ち着かない状況でどう寝ろというのか。
そんな気持ちを込めて聞き返すが、ローは譲らないようだ。

「どれだけ緊張で覚醒してようが、疲労は必ず表に出て来る。コンパス(お前)が狂うとシャレにならねェ。」

『ウーーンごもっともでございます。寝ます。』

「夜中の5時に島の浜辺待機だ。」

そう告げると、Aの返答も聞かずにローはサニー号の中へと消えた。
言い方こそぶっきらぼうだが、彼は常にAの様子を観察し、必要に応じて診断や助言をする。

(頭が上がらないな…。)

そんな彼への感謝も込めて、Aは大人しく自室へ向かうことにした。










『お』

パフューム遊蛇号船内。自室へ繋がる通路を歩いていると、正面からやってきたのはこの船の船長。彼女は最後の作戦会議が終わるとすぐに自分の船へ戻っていた。

「…。」

『珍しいね、ハンコックがここまで来るの。』

ばったり出会ったのが何か意外だったのか、彼女は少し目を見開いていた。

「…妾の船じゃ。どこを歩いていてもおかしくはなかろう。」

『はは、そうだね。』

そういえばここ最近、彼女との会話は少ない。共に行動する人間が増え、かつて親交があった面々とも再会したこともあり、必然的にタイミングが減っていたのかもしれない。

「休むのか」

『主治医からのお達しでね、今のうちに体力蓄えておけとさ。』

「…好きにするがよい。」

『はーい』

どこか冷たさを感じるハンコックの返しに、Aはその場の雰囲気を誤魔化すように笑いながら、ドアノブに手をかけた。
何か機嫌を損ねてしまったかな。気になってすんなり寝られそうにないな。

そんな事を考えながらドアノブを回すと、







「＿＿＿＿＿＿＿妾との契約、忘れてはなかろうな。」

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