異世界放浪者は海より山派。-雪解雨編- (四) [ONE PIECE]

episode175 一方その頃 ページ28

『＿＿＿＿＿＿＿＿おお、意外と見えるもんだ。』

自身の眼前に垂れる布をヒラヒラさせながら、Aは興味深そうにそう呟いた。

上陸組とアルンシングの出会いから時を少し遡り、潜入組一行は入団儀式に向けて、個室で準備を整えていた。

構成メンバーはサンジ、ロビン、ロー、マルコ、そしてA。
目立った武器を持つことができないため、ローの愛刀である"鬼哭(きこく)"は、ベーシス島表の港に停泊するサニー号に預けられている。彼曰く、能力さえ使えれば手元に呼び出せる距離とのこと。

これまでの流れとしては、まず入団希望者の輸送船に無事潜入。
たまたま入れ替わった部屋にいた見ず知らずの5名を気絶させ、素早く室内外の安全を確保。入団の際に着る礼服は一部屋に十数枚ほど置かれていたため、個室毎に人数がきっちり管理されている訳ではないようだ。

証拠隠滅のため、気絶した彼らをローの能力で海に落とす案も出たが、能力展開のスピードによっては不審な行動がバレる可能性があった。何より医者としてあまり殺生を好まないローの意志を尊重し、そのまま部屋に隠すことにした。幸い輸送船内部は監視が薄く、侵入については現状バレていない。恐らく。

その後どうやら船は海岸では無く島の地下内部に停泊したらしく、裏の港への潜入はひとまず成功したといえるだろう。

教団からはそこそこ充実した朝食を提供されたが、念の為それらには手を付けず、サンジが作ってきてくれた簡単な握り飯などで済ませておいた。このタイミングでブルックとも一度連絡を取り合っている。

「時間だ、船を出るぞ。」

教団の礼服に身を包み、ローが全員に声をかけた。いよいよ入団儀式に向かうことに。
彼らに課されたミッションは、Aの記憶のかけらを探すこと。そして伐沙羅の眠る場所を特定し、あらゆる手段を使ってでも完全復活を阻止すること。


沢山の入団希望者に紛れて歩きながら、ロー達は教団側の隙を虎視眈々と狙っていた。


案内された広間で、他の入団希望者達と共に教団の挨拶を静かに聞く一同。これといって教団側に怪しい動きはない。
室内前方のステージに立つ教団員の、大変ありがたいのであろうお言葉をなんとなく聞きつつ、マルコは周囲を観察していた。

(早けりゃこの段階で、察しの良い奴が何人か逃げたりするかと思ってたが……存外動かねェな。)

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