episode172 遭遇ミラクル ページ25
「＿＿＿＿＿お兄ちゃん！！」
海賊と共にスラムを去ろうとすると、アルシングの腰に女の子がしがみついてきた。今にも泣きそうな顔だ。
彼女の気持ちを察したアルシングは目線を合わせて屈んだ。
「大丈夫だって、ちょっと行ってくるだけだから。」
「ごめんなさい、ごめんなさい。私が勝手に食べ物盗みに行ったから？」
「え？違う違う、全然関係ないよ。それに、盗みの件だってみんなの役に立ちたいと思ってやったんだろ。無事なら良いんだよ無事なら。……でも、俺がいない間に危ないことすんのはさすがに勘弁してくれよ？みんなと一緒にいな。」
「……帰ってくる？」
「ん。帰ってくる。」
女の子の不安を払うように、彼女の頭をわしゃわしゃと撫でるアルシング。
ちょっと行ってくるわ、と元気に手を振ると、彼は一切振り向かず歩いた。今の自分の顔を見せるわけにはいかなかった。
共に歩き出した海賊達も、様々な感情が混ざったアルシングの表情を見て、気持ちを切り替えた。
スラムエリアを出ると、なにやら息を切らしながら走ってくる気配が。いち早くルフィが気付いた。
「あ、ゾロ！＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿えっ、ゾロォ！！！！！？」
予想外のドタバタでうっかり彼の存在を忘れていたが、方向音痴であるはずの彼がここまで辿り着いたことに、ルフィは目玉が飛び出す勢いで驚いた。
「ッ来んのが遅えと思って探してみりゃ……なんでお前らこんな所にいやがんだオイ……。」
ずっと走っていたのか、ゾロはゼェゼェと肩で息をしながら汗を拭っていた。
エースが苦笑いしながら片手で謝る。
「わ、悪ィ。流れでちょいと寄り道する必要があったもんで。にしても、よく分かったな。俺たちがここにいんの。」
「あ？……勘だ。」
答える前の妙な沈黙。
そしてやたらと息を切らしている様子。
「まさか島中走り回ったとか？」
「……お、俺も馬鹿じゃねェ。取り敢えず横目で王宮を見ながら島をずっと往復してりゃどっかで鉢合わせるだろ。まあまあの確率で。」
「あっ、マジで走り回ってら！！？」
なかなかの脳筋体当たり戦法に、エースは突っ込みながら少し笑ってしまう。
「笑ってんじゃねェコラ、元はといえばお前らが来んのが遅ェからだろうが！迎えが迷子になりやがって。」
「前半については何も言い返せねェがお前はお前で棚に上げてる感凄いな。」
フランキーの意見はごもっとも。元はといえばゾロが迷子になったことが全ての発端だからである。
episode173 強面の音痴の剣士くん→←episode171 向き合う時来たれり
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 280人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
休暇を求める者(プロフ) - いぶきさん» 3ヶ月越しの返信で恐れ入ります…！ご感想ありがとうございます。エース推しとのことで、もう暫しドッタンバッタン最終章が続きますが、ぜひ以降の流れも楽しみにしていただけましたら嬉しいです。 (7月2日 13時) (
レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
いぶき(プロフ) - 最初からここまで読んできましたがとても素敵な作品でエース、サッチが生きてるお話が見れるのがとても嬉しいです！エース推しなので時々見れるきゅんシーン射抜かれてます！エースもイゾウもルフィも好きなのでたくさん見れて幸せです！更新楽しみにしてます！ (2023年3月29日 7時) (レス) @page18 id: d33577c241 (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - ンョョさん» 大変な高評価を頂いてしまった上に…しかも長くお付き合い頂いてるとのことでなんと御礼申し上げれば…？？？大変光栄です、ありがとうございます。正直読み返すとまだまだ怪しい所もありますゆえ、今後も精進して参ります…( ˘ω˘ ) (2023年3月6日 1時) (レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - 莉久さん» 遅ればせながら返信いたします。う、嬉しか〜〜〜〜〜〜！特に世界観の維持はとても気にしていた所なので、とてもありがたいです。今作の中心人物はほぼ全員登場してしまったのですが、終盤に色々企ててますのでぜひお楽しみに… (2023年3月6日 1時) (レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
ンョョ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。何年も前から読んでいる者です！ストーリーの根幹がすごくしっかりしていて、伏線の張り方や登場人物のなめらかな視点移動が読んでいて惚れ惚れするほど圧巻です…！いちファンの身ですが、これからも応援しております。 (2023年3月2日 0時) (レス) id: 795bb29f75 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：休暇を求める者
| 作成日時：2022年12月30日 3時
