episode166 接触 ページ19
肩を掴まれた女の子は、振り払おうと必死に抵抗する。
不気味な伸びる手を怖がっているのはもちろんの事、彼女が先ほどぶつかった男もその奥にいる男達も、どう見ても堅気ではなかった。正直そっちの方が身の危険を感じていた。
そんな彼女の目の前に、もう一本の伸びる手が。
先ほど落とした紙袋をこちらに差し出している。
「忘れもんだぞ」
その声を聞いた女の子がハッとして紙袋を受け取り、背後を振り向くと、役目を終えシュパッとゴムのように縮んだ両腕。
その持ち主は麦わら帽子に手を乗せ、ニカッと笑った。
「内緒な！」
周りにいる人たちも、敵意のない目をしている。
そう感じた女の子は一瞬ぽかんとするも、頭を下げ、走り去っていった。
彼女の背中を見届けて、サッチが呟く。
「あの子、多分まだ5〜6歳くらいだよな。まあ随分対応が大人で。」
「ああ、盗っ人とは思えんほどにな。」
あの紙袋の中身は正当に購入したものではないだろうことを、イゾウは見抜いていた。
貧しい子供が盗みを働くのは、この世界ではまったく珍しいことではない。
しかしきっと本当は誠実なのだろうあの女の子でさえ、そんなことをしなければ食べていけないという現実に、イゾウは胸を抉られるような気持ちになった。自身の幼少期と重なることも相まって。
イゾウの呟きを聞いたエースが、ルフィに話しかける。
「"内緒"って、そういうことか。」
「ん？」
「ん？って、気づいてたんだろお前。」
「知らね。」
興味なさげにそう返すルフィ。こいつらしいな、とエースは笑った。
《__________い。おい、聞こえてるか？》
その場にいた全員が心の中で"忘れてた"と呟いたに違いない。フランキーの持つ電伝虫に思い出したようにバッと目を向ける。
「アウ！悪ィ悪ィ、ちょいとしたハプニングだ。……お前随分静かだったな？」
《状況によってはこっちの存在バラさねェ方が良いだろ。で、敵襲とかじゃねェんだな？》
「おうよ。んじゃ話途切れちまったが、俺達がそっち行くからもうちょい情報くれや。」
フランキーがそう頼むと、ゾロは周囲の建物や看板の文字情報を共有する。ある程度場所が特定できたところで、2人は通話を終了した。
そうして表の通りに戻ろうとした時、またもこちらに来る人の気配が。
「……おや、旅の方々。このような所で、何か道にお困りでしょうか？」
そう話しかけてきた男は、顔かけを身に付けていた。
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休暇を求める者(プロフ) - いぶきさん» 3ヶ月越しの返信で恐れ入ります…！ご感想ありがとうございます。エース推しとのことで、もう暫しドッタンバッタン最終章が続きますが、ぜひ以降の流れも楽しみにしていただけましたら嬉しいです。 (7月2日 13時) (
レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
いぶき(プロフ) - 最初からここまで読んできましたがとても素敵な作品でエース、サッチが生きてるお話が見れるのがとても嬉しいです！エース推しなので時々見れるきゅんシーン射抜かれてます！エースもイゾウもルフィも好きなのでたくさん見れて幸せです！更新楽しみにしてます！ (2023年3月29日 7時) (レス) @page18 id: d33577c241 (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - ンョョさん» 大変な高評価を頂いてしまった上に…しかも長くお付き合い頂いてるとのことでなんと御礼申し上げれば…？？？大変光栄です、ありがとうございます。正直読み返すとまだまだ怪しい所もありますゆえ、今後も精進して参ります…( ˘ω˘ ) (2023年3月6日 1時) (レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - 莉久さん» 遅ればせながら返信いたします。う、嬉しか〜〜〜〜〜〜！特に世界観の維持はとても気にしていた所なので、とてもありがたいです。今作の中心人物はほぼ全員登場してしまったのですが、終盤に色々企ててますのでぜひお楽しみに… (2023年3月6日 1時) (レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
ンョョ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。何年も前から読んでいる者です！ストーリーの根幹がすごくしっかりしていて、伏線の張り方や登場人物のなめらかな視点移動が読んでいて惚れ惚れするほど圧巻です…！いちファンの身ですが、これからも応援しております。 (2023年3月2日 0時) (レス) id: 795bb29f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：休暇を求める者
| 作成日時：2022年12月30日 3時
