#１７７ ページ30
．
涼太くんを見送った後、何故だか気分は晴れていた。
きっと、ちゃんと挨拶をすることができたからかな？
龍「 … 卒業してからも、俺はお前の傍におるからな」
駐輪場へ向かう途中、飛び立つ旅客機を眺めながら龍友くんは言った。
大丈夫、だって一人じゃないもん。
龍友くんだってそう言ってくれるし、涼太くんだって一生会えなくなるわけじゃない。
… 玲於もきっと、いつかは姿を見せてくれると思う。
学校には北ちゃんと壱馬はいるから寂しくなんかない。
学校の外にだって、リサさんと岩さんがいる。
『私って、幸せ者なんだなぁ … 』
夕暮れに染まりつつある空に向かって呟く。
龍「今更気付いたんか」
『何その言い方、めっちゃムカつきます』
龍「うわぁ、ちょっと涼太に似てきたんとちゃうか？」
だとしたら、それも嬉しい。
『だって、恋人ですもんっ』
龍友くんは涼太くんの残した言葉通り、彼の家の前で下ろしてくれた。
用事がある龍友くんは先に帰り、一人大きな屋敷のベルを鳴らす。
『電気が、ついてる … 』
まるで彼がここに居るかのように、彼の部屋の電気はついていた。
インターホンの答えはない。
が、その代わりに玄関が開いて直己さんが顔を出した。
直「Aさん … ！どうぞ、お入りくださいっ」
どうやら直己さんはここに残って、屋敷の手入れなどを任されているらしい。
本人は涼太くんについて行きたかったみたいだけど、主である涼太くんが残れと言ったから、しょうがなくここに残ったみたい。
直「ですが、涼太さんが一番気にしてらっしゃったのはAさんのことです」
『私、ですか？』
涼太くんの部屋に通され、椅子に座すとすぐに温かいホットティーを用意してくれた。
それに口を付けながら、直己さんの話に耳を傾ける。
直「オーディション結果から玲於さんの一件まで、Aさんは正当ショックを受けていると伺っておりました」
それに間違いはない。
1日で完全に傷が癒えたわけではないが、涼太くんに一目会えたことでそれは少し軽減されている。
直「ですので、留学の件も高校を卒業されてからのスケジュールに変更しようともしておりました」
『なんで、それをしなかったんですか？』
直「早く一人前になってAさんの隣に立ちたい、からだそうです」
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 99人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あ - 誤字多すぎなんだけど萎えるわ (2019年11月10日 16時) (
レス) id: 75e9093654 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - okppp212さん» コメントありがとうございます！そうなんです、あの漫画モチーフで書かせて頂いております！大好きなんですよね...あのバンドが... (2019年10月16日 21時) (レス) id: e2489fa5d7 (このIDを非表示/違反報告)
okppp212(プロフ) - やっぱり好きな漫画のやつだ！ってこの章で発覚して楽しみで読ませていただいてます！がんばってください！ (2019年10月16日 21時) (レス) id: fb074e63b9 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - こじゃるさん» コメントありがとうございます！これからも頑張ります！ (2019年9月23日 0時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
こじゃる(プロフ) - 続きが気になります！更新頑張ってください！ (2019年9月23日 0時) (レス) id: f9de41481b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜天 | 作成日時：2019年9月11日 14時
