#３１ ページ31
.
熱があるのを忘れてしまうぐらい緊張して、体が強ばってるのが分かる。
こんな車乗っててしかも運転手さん付きで、何者なんだ涼太先輩は。
涼「横になってなくて大丈夫？」
走り出した車の私の隣には涼太先輩、助手席に玲於。
大丈夫だといいたいところだけど、正直色んな意味で辛い。
何も言わずにいると、先輩は私の体を横に倒して自分の膝の上に乗せた。
『や … 、あのっ』
涼「無理、しちゃダメってさっきも言ったでしょ」
それは分かってます、十分。
それ以上に私が心配してるのは助手席に乗ってる玲於のことで …
ミラー越しに見えた彼は、こっちのことなんて見てなかった。
肘をついて外を眺めててまるで興味なし。
なんで？さっきまであんなに怖い顔してたじゃん。
それをいい事に先輩は戸惑う私のことなんてお構い無し。
涼「 … オーディションどうしよっか、Aちゃん」
玲於の肩がピクっと動いた。
先輩とバンドを組んだことをまだ彼には伝えてなかったから。
なんで今その話を振るのって、本当は怒りたい。
涼「玲於くんはやらないんでしょ、バンド」
ねぇ、なんでよっ。
涼「バンドなんで組んであげな 『先輩っ！！』
『やめてください … 玲於の前でその話するのは … っ』
何も知らないのに、玲於のこと責めないで。
私のせいで、玲於は … バンドを辞めたんだから。
『玲於は … いいんです』
せめて私ができることは、彼をそっとしておくことだけ。
先輩の膝に顔を埋めて、彼のブレザーを握り締める。
それ以上玲於に触れないように、引き止める意味を込めて。
玲「良かったじゃん、バンド組めて」
… え？玲於 … ？
玲「PIERROTに近づけたんじゃねぇの、ちょっとは」
なんで、そんなこと言うの。
怒って … くれないの？
『ねぇ、玲於っ』
起き上がって助手席に乗り出そうとする私を涼太先輩が止める。
玲「あの、車停めて貰えますか」
直己さんは素直に車を停めて、玲於は出ていってしまった。
玲「 … Aのこと、ちゃんと送ってやってくださいよ」
涼「当たり前でしょ」
それだけ言い残して。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 299人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜天(プロフ) - 美心さん» 亜嵐くんの誕生日ですか！？羨ましい(泣)移行先でもよろしくお願いします！ (2018年11月10日 9時) (
レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
美心(プロフ) - 私は8月4日に参戦して来ました！更新頑張ってください！ (2018年11月9日 22時) (レス) id: 3a297c68b9 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - 佐野玲於の名無しのfanさん» ありがとうございます！まだまだ最後を迎えるのは先なので最後までどうかお付き合いください！ (2018年10月16日 7時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
佐野玲於の名無しのfan(プロフ) - オチが気になる〜！！読み終わったとき心臓がキュンキュンします！続き頑張ってください！ (2018年10月16日 0時) (レス) id: 24c1463825 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - あゆんさん» ありがとうございます！これからもきゅうってさせちゃいます！！ (2018年9月30日 6時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜天 | 作成日時：2018年9月10日 23時
