赤井さんの想い人は工藤新一の双子の姉【業火の向日葵】

５話 ページ5

『まぁ、今ならもれなく大学院生がついてくるからじゃないかしら。』


昴｢え？｣


『頑張ってね。菊千代さん。』


映画“七人の侍”に出てくる七人目の侍の名前で呼ばれた昴は、眉をひそめた。

テレビでは、毛利小五郎の名を知らない司会者が《ミスター毛利とは？》とマイクを次郎吉に向けた。


次郎吉《お〜、おぬしたちには“眠りの小五郎”と言った方がわかりやすかったかもしれんな。》


《ああ！あの名探偵のミスター毛利ですか！》


次郎吉《うむ。“ひまわり展”は全てにおいて最高の布陣で挑む。》


次郎吉の自信満々の発言に、司会者は｢もしもですが…。｣と口を開いた。


『七枚全てが集まらなかった場合でも、落札された“ひまわり”は展示していただけるんでしょうか？』


次郎吉《いや！七枚揃わねば決してやらん。》


『しかし、それでは…。』


次郎吉《案ずるな!!》


司会者の言葉をさえぎった次郎吉は、キッと前をにらみつけた。


次郎吉《“ひまわり展”はかねてからのワシの夢じゃ。そしてワシには、叶わぬ夢などないっ!!》


次郎吉の高笑いが会場に響くと同時に、どこからか一枚のカードが勢いよく飛んできて、次郎吉の目の前の床に刺さった。

真っ白なそのカードには、シルクハットにモノクル(片眼鏡)を装着した人物のイラストが描かれている＿＿＿。


園子｢これって、まさか♪｣


見覚えのあるカードに、園子は頬を赤く染めた。
その横で次郎吉の表情が凍りつく。


｢キッ…キッドカード!!｣


専門家達が｢え!?｣と驚く中、チャーリーがすぐに周囲を見回した。

すると、報道陣の中から、帽子を目深にかぶった男が銃を持って出てきた。


｢何だアイツ！｣

｢銃を持ってるぞ！｣

｢警備員を呼べっ!!｣


次郎吉は園子をかばうように背後に回した。
二人の前に出たチャーリーが銃を抜いて構える。


チャーリー｢動くなっ！銃を捨てろ!!｣


銃を持った男は立ち止まって帽子のつばに手をかけた。


チャーリー｢聞こえなかったのか!?早く銃を捨てるんだっ!!｣


報道陣たちが慌てて左右に散らばり、カメラだけがその場に取り残された。

男がゆっくりと両手を上げる。

男はフッ…と笑うと、右手に持っていた銃を天井に向かって撃った。

銃口から伸びたワイヤーが天井に突き刺さったかと思うと＿＿＿ひるがえる純白のマントが宙を上っていった。

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