ラブストーリーは甘くない《紫》 (ページ8)

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「や〜俺さ、正直言って今部屋がヤバいのよ。こっち帰ってきてから忙しくて全然片付けられてなくてさ。この週末こそやんないと足の踏み場もなくて笑二次会まで行っちゃうと明日朝も起きらんないしさー」

「足の踏み場もないって笑」

「え？信じられない？あんのよそういう部屋が！今の俺の部屋！収納も少なくて家具も買わなきゃでモノが溢れてんの！」

「なんでそんな部屋にしたのよ笑」

「急いでたしさー。。ほら、前にAが言ってたじゃん、ウチ乗り継ぎないから楽だよーって。。あれ覚えててさ、俺も会社から乗り継ぎないとこで部屋探そうと思ってて。。」

え。。。そんなこと、覚えてたの。。？

そんな話をしながら駅に着き、改札をくぐる。

ホームへの階段を登りながら、

「。。。だからさ、俺もこの沿線」

同じホームに立って電車を待つ。

「へぇ。。何駅なの？」

「Aの降りる駅の次の駅」

「わたしの駅覚えてたんだ」

「一回お前べろんべろんに酔っちゃって送りに行ったことあっただろ？だから覚えてた」

うん。。私だって覚えてる。

マンションの前まで送ってくれて、エントランスを入るまで見ててくれた。

もう何年まえの話だろう。

深澤、覚えてたんだな。

ホームに入ってきた電車に一緒に乗り込む。

車内は空いていて、ふたりで座席に座る。

わたしが降りるまでの30分間、

ふたりきりだ。