飛蝶 - 最愛の人 - (ページ27)

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部屋を出て行くあの人と小瀧さんに続いて、
車に乗れば、高いビルが並ぶ場所へ。

しばらく走った先に着いたのは、黒で統一された高級なお店。

ゴールドのブランドロゴがよく目立つ。

人が出迎えてくれるお店なんか初めてだから、入った瞬間、緊張してしまって…

『とりあえず、合いそうなの持ってきて。あと、それに合わせて靴と鞄も。』

試着室の前に慣れた雰囲気で座る二人に比べて、次々に渡される高そうな服に固まる私。

「…もしかして、これ全部着るの？」

『当たり前や、変な格好で行けるわないやろ』

「…だよね、」

あまり口答えすると怒られそうだから、渋々、黒のワンピースに着替える。

履きなれない高いヒールを履いて鏡に映る自分を見ても、あまりピンとこなくて…

「…どう、かな……」

カーテンを開ければ、

小『うーん、次やな。これは身長が足らんかも』

ヒールで誤魔化してるとはいえ、すれすれの丈のせいで私には似合わない。

「…ですよね、着替えます」

すぐさま、次の服に着替えて、二人に見せて、また着替えて、また見せて。

それを何度か繰り返しても、二人が首を縦に振ることはなくて。

最後に渡された白のワンピースに着替えて、控えめなゴールドの靴とパールの鞄を合わせてみたら、今までで一番マシな気がした。

「これも、変……？」

店員さんが何個が出してくれたけど、これがダメだったら、またあの服を着ることになってしまう。

だから、これで頷いてくれないと…

小『ええんちゃう？俺は好きかな。濵ちゃんは？』

『…まぁ、見れるもんにはなったな。』

良いとも悪いとも言ってくれなかったけど、なんとかこれに決まった。

「でも、これ……」

値札には見たことないくらいゼロが付いてる。

私、こんな高い物買うお金ない…

『あくまで仕事で使うやつや。安心せぇ、給料から抜いたりせんから』

「あり、がとう…」

素直に出た言葉に返事をする代わりに、目が合った彼は先に車へ戻って行った。