・・9 ページ44
●Memory 9●
そこは、さすが俺、としか言いようがないけど。
彼女ができても。
その子の事をふとした瞬間に考えていても
僕の勉強に向ける集中力が失われる事はなく。
12月はほぼ毎日、閉まるまで予備校にこもった。
ﾕｷ『ていうか、ほんと体平気？倒れるんじゃない？』
CM「ん、大丈夫。」
ﾕｷ『電話もなんか久々だしさ〜心配してたよ。』
ほんの短いユキとの電話で、ふぅっと息を吐きながら。
理解があるのか、何も考えてないのか。
たぶん後者な彼女には感謝してる。
CM「クリスマスはテストだから無理だけど……その後とか、会う時間つくるから。」
ﾕｷ『うん、高いプレゼントとか全然期待してないからね。』
CM「はぁ？絶対やらねーし(笑)」
何日ぶりだっけ……
それすら記憶にない電話を切って。
さっきまで解いてた問題をもう一度頭の中で解きながら
死んだように眠りについた。
*
*
CM「……うっわ。」
予備校から駅までの帰り道。
ペンケースを忘れた事に気付き
もう、ほぼ誰も生徒のいない予備校に小走りで戻る。
ちっ……こんなタイムロス。
まさにナンセンス。
ｺﾂｺﾂ…
静まり返った廊下を足速に歩いて。
さっきまでいた3階のつきあたりの自習室。
CM「…………」
電気の消えてるそこはドアが開いていて……
僕は、呆然とそこに立ち尽くした。
息が止まった。
机に座ってるｷｭﾋｮﾝと。
ｷｭﾋｮﾝが腰に手を回してキスしてる相手が
他でもない、ユキだったから。
ｶﾀ……
咄嗟に手を付いたドアが
微かに、それでも静寂を打ち壊すように響く。
KH「……あ(笑) 忘れ物？」
やべー変なとこ見られちゃった、と言いたげな
いつものおちゃらけた顔をしたｷｭﾋｮﾝと。
振り返ったユキの固まった表情のコントラスト。
は…？
なに、浮気かよ。
僕の通ってる予備校で堂々と。
ここの生徒でも何でもないクセに。
浮気すんなよって、お前が言ってなかった？
どんな神経してんの？
なあ、なんでよりによってｷｭﾋｮﾝなわけ？
KH「…え、なんかキレてる？」
気まずそうに、僕から顔を背けて俯くユキ。
僕の無言の剣幕に、きょとんとしてるｷｭﾋｮﾝ。
言ってやりたい言葉……
というか暴言が、次から次へと止めどなく湧き上がる。
けど。
何を言うのも悔しくて、惨めで。
「なんでもない」
平然を装ってそう呟くと、そこから背中を向けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1939人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りんこ(プロフ) - すぐりさん» すぐりさん、コメントありがとうございます(^^)水色のカルテとこちらのカップルを気に入ってもらえてとても感激です。ナンセンスもツボってもらえて嬉しい♪ヒロインちゃん好き過ぎて重い年下チャンミンさん、最後まで可愛がってあげて下さいね^^笑 (2022年1月29日 20時) (
レス) id: d7a2e5dd40 (このIDを非表示/違反報告)
すぐり(プロフ) - ｶﾙﾃ 続きも読める様にして頂いて有難うございますm(_ _)mｽｯｺﾞｲ嬉しい…今度はあの挫けたところを突破して読めてます。ここの主人公とﾁｬﾝﾐﾝの存在が大好きで…ﾎﾝﾄ読めて嬉しい(^^)ﾁｬﾝﾐﾝのﾅﾝｾﾝｽって言葉見る度…読める幸せ噛み締めています♪ (2022年1月29日 9時) (レス) id: bd7625e3e7 (このIDを非表示/違反報告)
りんこ(プロフ) - manmaruuさん» 甘々のリョウク先輩、manmaruuさんのツボにハマってもらえたようで(*´▽`*)私も久々に読み返して、先輩に愛されてきます(笑)いつも温かいメッセージ嬉しいです。こちらこそありがとうございます！ (2019年11月19日 10時) (レス) id: f23ebc6f87 (このIDを非表示/違反報告)
りんこ(プロフ) - manmaruuさん» manmaruさん、レンガとカルテも読んでくださったんですね！ありがとうございます、そしてお疲れ様でした(=^_^=)笑 わー、本当ですか！お話の中の彼らを気に入ってもらえて嬉しいです。楽しんでもらえてよかった♪ (2019年11月19日 10時) (レス) id: f23ebc6f87 (このIDを非表示/違反報告)
manmaruu(プロフ) - リョウクさんはちょこれーとシリーズも大大大好きでこちらのお話でも出てきてくれて嬉しいです。心が潤うお話をたくさん公開して下さってありがとうございます！！ (2019年11月18日 14時) (レス) id: 786210485f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りんこ
| 作成日時：2015年7月8日 18時
