水色のカルテ

●Memory 1● ページ36

●Memory 1●




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『ああっ……慶中高校のﾁｬﾝﾐﾝ君だ。格好いい〜』

『ほんと、オーラからして別世界だよねぇ』

『女子に見向きもしないって態度がまたステキ！』





こそこそ話しているのか。
あえて僕に聞こえるように話しているのか。


図書館のテーブルで数学を解いている僕の後方から
女子達のはしゃいだ声。




CM「ちっ……」




あー…うるさい。

図書館まで来てるなら本読むか勉強しろ。
今すぐに。



そう悪態つきながら
志望大の過去問にシャーペンを走らせて。



あ…

集中していて気付かなかった。

区切りがいいとこで窓の外を見ると
糸のような細い雨がさーっと降り出している。





CM「…傘持ってきて正解。」





一つの模試が終わって
僕の成績は努力の量に比例して納得できるものだった。



まあ、これなら余程のことがなきゃ大丈夫だろう。

だけど、油断は出来ない。絶対に。





もう一度窓に視線をやると
ｷｭﾋｮﾝが傘をさしながら、女とアイスを食べている。





CM「……(笑)」





春に予備校のクラスが一緒になってから
自然とすぐに意気投合した僕たち。


タイプは違くても、不思議と会話は尽きなくて。


女にかまけていても抜群に成績のいいあいつを
僕は尊敬してもいる。




一緒にいると、それだけ無駄に騒がれるけど。





CM「……………」





にしても、昨日の子とは別？


ふーん……まあ、けっこう可愛いな。





頬杖をつきながら、ぼんやりしてる自分に気付いて。
振り払うようにページを捲った。





今は彼女つくる気はない。

大学に合格するまで………それまではいい。



というか、僕に釣り合う女はここにはいないし。





CM「…よし。あと5ページやるか。」






高校3年の5月。

そう思いながら、ひたすら勉強に励む日々を送っていた。

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