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ﾐｰﾝ…ﾐｰﾝﾐｰﾝ…
駅から、僕の部屋までの道のり。
視線の先にある家の庭先で
サルスベリが鮮やかに咲いていて。
Aさんは「この花を見ると、夏だね」と微笑んだ。
『前付き合ってた彼女、サルスベリ見ると怖いって言ってたんですよ。』
『怖い？どうして？』
『小さい頃迷子になった場所で、それが満開に咲いてたから。今でも見ると思い出すんだ…って(笑)』
僕がそう言うと。
あなたは少しの間をあけて「そうなんだ」と言い
「純粋で可愛い人だね」と続ける。
だけど、その口ぶりはどこか弱々しさが滲み出ていて
その顔を覗き込んだ。
『妬いた(笑)？』
『……もう。また。』
『だから、妬いた？』
『妬かない。でも、少しだけ胸が痛くなったよ。』
僕はたまに
どうしようもなくあなたに意地悪がしたくなって。
くだらない過去の話を披露してその反応を見る。
ほら。
普通を装ってるけど、気にしてるのがバレてる…
そんな正直なところが可愛くて仕方ないから。
『ﾁｬﾝﾐﾝも知っての通り……
私にはそういうエピソードなんてないからなあ。』
濃いピンク色のサルスベリを横目にあなたがそう笑った時
僕はやっと自分の浅はかさに後悔して。
ぶらん、と下げられた手を慌てて握って
「すみません」と謝った。
*
Aさんは、背中が特に綺麗だ。
透けるように白い肌に、肩甲骨がすぅっと浮き出て。
その下……
腰にかけての曲線は、服を脱がないと分からない美しさ。
右の腰には大きめのほくろがある。
『…そういえば。
僕、女の人の背中をこんなにまじまじ見たことない。』
『見ないでいいよ…』
『知ってます？
凄い綺麗なんですよ、Aさんの背中って。』
身体が冷えない程度に冷房の効いた部屋。
ひとつ、そこに口づけると
驚いたように肩甲骨が動いて。
堪らなくなって、何度も何度も唇の位置を変える。
『…Aさん。
もう、さっきみたいな馬鹿な事しないから。
僕を捨てないで下さい。』
背中に向かってお願いする。
「なに…？」と。
不思議そうに振り返るあなたに
耳元で、後半の言葉をもう一度繰り返した。
『…また、からかってる。』
『本気ですよ。伝わらないんですか？』
そう言って。
嫌でも伝わるように、時間を掛けてあなたを愛した。
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りんこ(プロフ) - すぐりさん» すぐりさん、コメントありがとうございます(^^)水色のカルテとこちらのカップルを気に入ってもらえてとても感激です。ナンセンスもツボってもらえて嬉しい♪ヒロインちゃん好き過ぎて重い年下チャンミンさん、最後まで可愛がってあげて下さいね^^笑 (2022年1月29日 20時) (
レス) id: d7a2e5dd40 (このIDを非表示/違反報告)
すぐり(プロフ) - ｶﾙﾃ 続きも読める様にして頂いて有難うございますm(_ _)mｽｯｺﾞｲ嬉しい…今度はあの挫けたところを突破して読めてます。ここの主人公とﾁｬﾝﾐﾝの存在が大好きで…ﾎﾝﾄ読めて嬉しい(^^)ﾁｬﾝﾐﾝのﾅﾝｾﾝｽって言葉見る度…読める幸せ噛み締めています♪ (2022年1月29日 9時) (レス) id: bd7625e3e7 (このIDを非表示/違反報告)
りんこ(プロフ) - manmaruuさん» 甘々のリョウク先輩、manmaruuさんのツボにハマってもらえたようで(*´▽`*)私も久々に読み返して、先輩に愛されてきます(笑)いつも温かいメッセージ嬉しいです。こちらこそありがとうございます！ (2019年11月19日 10時) (レス) id: f23ebc6f87 (このIDを非表示/違反報告)
りんこ(プロフ) - manmaruuさん» manmaruさん、レンガとカルテも読んでくださったんですね！ありがとうございます、そしてお疲れ様でした(=^_^=)笑 わー、本当ですか！お話の中の彼らを気に入ってもらえて嬉しいです。楽しんでもらえてよかった♪ (2019年11月19日 10時) (レス) id: f23ebc6f87 (このIDを非表示/違反報告)
manmaruu(プロフ) - リョウクさんはちょこれーとシリーズも大大大好きでこちらのお話でも出てきてくれて嬉しいです。心が潤うお話をたくさん公開して下さってありがとうございます！！ (2019年11月18日 14時) (レス) id: 786210485f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんこ
| 作成日時：2015年7月8日 18時
