唇 ページ21
・
なにか、見てはいけないものを見てしまった気がして。
数歩下がって…
私は足をもつれさせながら歩調を速めた。
ど、どうしよう…。
ｷｭﾋｮﾝ先生……しかも診察室。
か、彼女さんなのかな…？
もの凄い衝撃。
妖艶な危ない雰囲気で
それが、目にチカチカと焼き付いて離れない。
ﾘｮｳｸさん！
見たものは話せないけど
ﾘｮｳｸさんの顔を見て安心したい…！
カーディガンでは寒い外に飛び出して。
すぐ隣………カウンセリングルームに駆け込む。
ｶﾞﾀﾝ…
「ぅ……痛い……」
右膝に走る、強い痛み。
ほんの少しの段差につまづいて。
地面に打ち付けた膝が、ずきずきと音をたてる。
CM「え…どうしました？」
「ﾁｬﾝﾐﾝ、さん」
CM「はぁ……また転んだんでしょう？
消毒します。立てますか？」
「…はい。」
「今後はヒール禁止ですね」と差し出された手を
戸惑いながら握って。
安心する。
ﾁｬﾝﾐﾝさんの手はほんのり温かくて
それだけで、膝の痛みはどこかへ抜けていく気がした。
*
CM「…で？何をそんなに慌ててたんです？」
優しい香りが包み込むカウンセリングルーム。
手際良く消毒をしてくれたﾁｬﾝﾐﾝさんと
向い合って椅子に座りながら。
その居心地の良さに
つい、さっき見た光景を口にしていた。
CM「…ｷｭﾋｮﾝが？」
「………はい。」
CM「それで、動揺して走って逃げてきたんですか。」
「………はい。」
今も、思い出すと顔がカッと熱くなってくる。
熱くて熱くて。
頬に手を当てて、上昇する熱を吸い取っていると…
CM「……Aさん。」
呼ばれた名前に、はっとして顔を上げた。
…？
違和感。
目の前のﾁｬﾝﾐﾝさんは静かな表情をしていて…
でも、口元は"笑い"をつくっている。
CM「例えば……それがあいつではなく僕だったとしたら。
それでもあなたは、ここまで動揺しましたか。」
え…？
意味が分からない。
質問の意図が読めな過ぎて
バカみたいに、ぽかんと固まってしまう。
ｷｭﾋｮﾝ先生ではなく、ﾁｬﾝﾐﾝさんだったら…？
「それは………そんなの、」
CM「……ほんっと。鈍すぎるんだよ。」
その言葉と同時に、腕を掴まれて。
咄嗟に、声をあげそうになる寸前……
私の唇は、ﾁｬﾝﾐﾝさんの唇によって塞がれた。
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りんこ(プロフ) - すぐりさん» すぐりさん、コメントありがとうございます(^^)水色のカルテとこちらのカップルを気に入ってもらえてとても感激です。ナンセンスもツボってもらえて嬉しい♪ヒロインちゃん好き過ぎて重い年下チャンミンさん、最後まで可愛がってあげて下さいね^^笑 (2022年1月29日 20時) (
レス) id: d7a2e5dd40 (このIDを非表示/違反報告)
すぐり(プロフ) - ｶﾙﾃ 続きも読める様にして頂いて有難うございますm(_ _)mｽｯｺﾞｲ嬉しい…今度はあの挫けたところを突破して読めてます。ここの主人公とﾁｬﾝﾐﾝの存在が大好きで…ﾎﾝﾄ読めて嬉しい(^^)ﾁｬﾝﾐﾝのﾅﾝｾﾝｽって言葉見る度…読める幸せ噛み締めています♪ (2022年1月29日 9時) (レス) id: bd7625e3e7 (このIDを非表示/違反報告)
りんこ(プロフ) - manmaruuさん» 甘々のリョウク先輩、manmaruuさんのツボにハマってもらえたようで(*´▽`*)私も久々に読み返して、先輩に愛されてきます(笑)いつも温かいメッセージ嬉しいです。こちらこそありがとうございます！ (2019年11月19日 10時) (レス) id: f23ebc6f87 (このIDを非表示/違反報告)
りんこ(プロフ) - manmaruuさん» manmaruさん、レンガとカルテも読んでくださったんですね！ありがとうございます、そしてお疲れ様でした(=^_^=)笑 わー、本当ですか！お話の中の彼らを気に入ってもらえて嬉しいです。楽しんでもらえてよかった♪ (2019年11月19日 10時) (レス) id: f23ebc6f87 (このIDを非表示/違反報告)
manmaruu(プロフ) - リョウクさんはちょこれーとシリーズも大大大好きでこちらのお話でも出てきてくれて嬉しいです。心が潤うお話をたくさん公開して下さってありがとうございます！！ (2019年11月18日 14時) (レス) id: 786210485f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんこ
| 作成日時：2015年7月8日 18時
