09. 予期せぬ再会 ページ9
yt side
「 ねえ、俺………帰っていい?」
溜息を吐くようにして呟いた言葉に、顔を赤くした王様がジロリと睨みを効かせた。
涼介「 あ?なんか言ったか?」
「 やま、お酒弱いのにやめなって 」
雄也「 裕翔諦めろ。こいつは学習能力のない人間だから 」
涼介「 あー?うるせえなあ…ゆーと!お前もっと飲め!」
「 えっ、ちょ、まっ…」
押し付けられたグラスを笑顔で机に置いて、相変わらず酒癖の悪い王様が笑う。
涼介「 ゆーやあ、聞いてよこいつ、一丁前に一目惚れしたんだとよ 」
雄也「 それは初耳だなあ、うちの有望株の中島裕翔くーん?」
「 ゆ、ゆうやさんっ…顔!顔怖いから!てか、やまそれ二人だけの秘密でしょ!」
涼介「 あん?…秘密は誰かに言った時点でもう秘密じゃねえーんだよ、バァカ 」
「 やだもうこの人なに?ほんとやだ……」
雄也「 んで?どんなだよ、裕翔のお眼鏡に叶った美人さんは 」
涼介「 オトコ 」
雄也「 ぶっ…!おまっ……やっぱそっちだったのかよ!」
「 ちょ、汚い!拭いて!てかやっぱってなに?!」
涼介「 っるせなーおい 」
足癖悪いで有名な涼介にガンガン蹴られながらも、「男てえ……お前なあ…」と既に使い物にならない雄也さんにおしぼりを渡す。
なぜかこの時確信した。幼稚園の先生にはなりたくない、と。
「 もう、帰りましょ?ね?お会計しとくから!」
雄也さんにお会計を頼んで、俺は涼介を連れ店前に出た。
冷たい夜風にでも当たれば少しは目が覚めるだろうし。
もうほんと、こんなとこ撮られたら恥ずかしいのはやまのほうなのにさあ…
やまを引き寄せてないほうの腕につけてた時計を見やると、時刻は終電間際。
まぁどちらにせよタクシーだからいいんだけど。
涼介「 ゆーとぉ 」
「 はいはい。なに?」
涼介「 吐きそう 」
「 冗談やめて 」
色白だから、酔いからきた赤みが目立つ頬をペタペタと叩く。日頃の恨みとか込めてないよ?
流石にこの状況で顔バレとかまずいから、帽子を目深に被せて俺もマスクを……
「 あれ?……ゆうと、くん?」
バッグの中から、マスクを取り出したときだった。
ガヤガヤした居酒屋の並ぶこんなとこで、あの時より柔らかく笑うあなたに出会った。
「 お、噂をすればってか?」
でも隣に男がいることに気づいて、ほんのり回ってた酔いが一気に覚めた。
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伊野尾様love.@七星 - こんなに素敵なBLがあっていいものでしょうか…泣。なんなら私、見出し?というか目次で泣いてましたから←。神楽様の語彙力が凄まじいからです…!私もこんな小説がかけるようになりたいな…とつくづく思いました。ありがとうございました!! (2019年12月26日 3時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - 神楽さん» これからも楽しみにしています。更新頑張ってください! (2018年5月1日 0時) (レス) id: 8fb5d7b3b8 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - りぃさん» ご指摘有難うございます。先程の更新で変更させていただきました。これからも神楽共々「雨宿り〜」を宜しくお願い致します。 (2018年5月1日 0時) (レス) id: 5c1877f0f8 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - ここみさん» ゆといのはほんとに素晴らしくて神楽も大好きなカップリングの1つなので是非楽しんでくださいね。そしてゆといのを書かれてる素敵作者様たっくさんおられるのでそちらにも是非! (2018年5月1日 0時) (レス) id: 5c1877f0f8 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - 神楽さん、初めまして。神楽さんの色々な作品をいつも楽しませて頂いております。17ページで気になるところがあるのですが、「喫煙」ではなく、「禁煙」ではないでしょうか…?喫煙でしたら煙草を吸うという意味になってしまいます…!私の勘違いでしたらごめんなさい! (2018年4月30日 20時) (レス) id: 8fb5d7b3b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神楽 | 作成日時:2018年4月1日 15時