雨宿りするなら君の胸の中で。 ytin

48. 三人家族 ページ48

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結婚式が終わった数日後。
ローマに立つ1週間前。


裕翔くんに手を引かれやって来たのは…







「 児童養護施設…？」



裕翔「 慧さんが日本を出る前に、最後にしたいこと。昨日連絡したら、今日大丈夫って言われたから」



「 ………養子を取る、ってこと？それって可能なの？」



裕翔「 日本の法的には俺たちの子供とするのは難しいんだ。事実婚でも特殊だし。でも、養子縁組を取れば、家族になることはできる。」









大きな目を細めて、真っ直ぐに、歩く。

その横顔にどうしようもなく胸が高鳴った。
やっぱり君は、優しいよ、ほんと…








裕翔「 あの子、覚えてる？」


「 ……勿論。あんな可愛い子、忘れられないよ」









繋がれた手を、自ら強く、握り返す。
いつかのスタッフの方が「あらあら…若いっていいわね」と微笑んでくれた。

以前、ネットニュースで同性婚をしたカップルが養子縁組を取ることが多いと見たことがあった。
だからかは分からないけど、ここはそういうことの理解が薄くはなさそうだ。よかった、と安心感が胸を包む。








先生「 ご存知かと思いますが、あの子は、まだ、母親のいい思い出しかないんです。」


裕翔「 …そこが気がかりです。僕らを受け入れてくれるでしょうか 」


先生「 中島さんのこと、かっこよくて優しい人だってよく聞かせてくれますから。きっと…大丈夫ですよ。」








中年の先生は、物腰柔らかそうに微笑み、ここで待っていてくださいと事務室を出た。






「 …君、ここ、初めてじゃないの？」


裕翔「 何度か足を運んで、段階を踏まないと養子縁組取れないからね。」


「 そうなんだ。」





裕翔「 嫌だった？」


「 どうして？」


裕翔「 …もし俺だけ先走ってたら恥ずかしい 」


「 ふふ。そんなことないよ。だって、あの子なら…ううん。一度しか会ったことないけど、あの子じゃないと俺たちとは家族になれないって分かる 」







中途半端な愛を知った、寂しいのに、言い出せない瞳。






裕翔「 …へへ。よかった 」








君、そっくりじゃない。
断れるわけないでしょ？そんなの。








「 …あ、今日はゆーとくんだけじゃないんだ！」







いつか聞いた、甘い鈴の音みたいな声に笑顔が溢れる。

この子が家族になってくれたらいいなぁ。






「 こんにちは、侑李くん！」

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