34. ばかやろう ページ34
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裕翔「 ごめんね、慧さん 」
いつもニコニコ笑ってて、慧さんって、優しく名前を呼んでくれて。
太陽みたいな彼はきっと、そんな風に温かく愛されて生きてきたんだと勝手に思っていた。
裕翔「 ……俺なんかに、付き合ってくれて。こんな風に思い出もくれて 」
「 ……え?」
眉を下げ、目を細めて、いつもより力なく笑う。
先ほどまで握られていた手もいつの間にか離されていた。
裕翔「 本当は、この旅行が終わったらにしようって思ってたんだけど……ずるいよね、そんなの 」
「 ちょ、ちょっと待って…裕翔くん!」
溢れてくる涙を腕でゴシゴシ殴って、彼を見つめる。
どうしてそんな……諦めたような顔をするんだ。
裕翔「 別れよう。慧さん 」
「 ……っ、まっ、て…ってば」
涙がまた、溢れてくる。
いつもなら優しくその指で拭ってくれるのに。
今、目の前にいる君は影を作って、困ったように笑ってるだけ。
裕翔「 あなたに俺は相応しくないから。」
目を伏せて、いつもの元気な笑顔なんてどこへやったのか。別人みたいな冷めた顔をして君は俺に別れを告げる。
……だから、人の話、聞いてってばっ…
「 っ、聞けよっ…!俺の言葉っ、聞いてっ!」
裕翔「 け、慧さんっ?!」
顔は涙でぐしゃぐしゃだろうし、言葉だってもうめちゃくちゃ。
それでも、今言わないと。彼が心をシャットダウンしてしまう前に。
「 好きだよ…裕翔くんのこと、好きっ…!気付けよっ!
伝えなきゃ。俺にしか届けられない言葉で。
「 どうして一人になろうとするんだよっ!俺に一人じゃないって、言ったくせにっ、自分は…っ!」
裕翔くんは、俺を突き放そうとするんだよ。
おかしいでしょ。気づいてよ。分かってよ。
「 愛してくれるんでしょっ….!逃げんなよっ!俺から、逃げんな……っ!」
俺を、置いていかないで。
「 …っはあ、…はあっ…」
裕翔「 慧さん、俺…っ」
一度に叫びすぎて、まだ息は弾んでた。
鼓動はバクバク鳴って、目はチカチカしてる。
「 もうっ、とっくに…俺だって、裕翔くんのっ、こと………愛してるよっ…ばかやろう 」
君が愛してくれたように。
今度は俺が、もういらないってくらい、俺の全部で君を愛すよ。
潤んだ目で見つめた。
君は、涙に濡れて口付けた。
俺を受け止めるように。
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伊野尾様love.@七星 - こんなに素敵なBLがあっていいものでしょうか…泣。なんなら私、見出し?というか目次で泣いてましたから←。神楽様の語彙力が凄まじいからです…!私もこんな小説がかけるようになりたいな…とつくづく思いました。ありがとうございました!! (2019年12月26日 3時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - 神楽さん» これからも楽しみにしています。更新頑張ってください! (2018年5月1日 0時) (レス) id: 8fb5d7b3b8 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - りぃさん» ご指摘有難うございます。先程の更新で変更させていただきました。これからも神楽共々「雨宿り〜」を宜しくお願い致します。 (2018年5月1日 0時) (レス) id: 5c1877f0f8 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - ここみさん» ゆといのはほんとに素晴らしくて神楽も大好きなカップリングの1つなので是非楽しんでくださいね。そしてゆといのを書かれてる素敵作者様たっくさんおられるのでそちらにも是非! (2018年5月1日 0時) (レス) id: 5c1877f0f8 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - 神楽さん、初めまして。神楽さんの色々な作品をいつも楽しませて頂いております。17ページで気になるところがあるのですが、「喫煙」ではなく、「禁煙」ではないでしょうか…?喫煙でしたら煙草を吸うという意味になってしまいます…!私の勘違いでしたらごめんなさい! (2018年4月30日 20時) (レス) id: 8fb5d7b3b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神楽 | 作成日時:2018年4月1日 15時