雨宿りするなら君の胸の中で。 ytin

04. お口の悪い王様 ページ4

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涼介「 は？一目惚れ？お前が？」


「 うん。多分、もう好き…だと思う 」







ドリンクを選びながら思い出す。
朝のあれは緊張した。それこそ喉がカラカラに乾いちゃうくらいに。


何か言いたげなやまが口をへの字にして「明日雪でも降るんじゃね？」と訝しげに顔をひそめる。


何だ。何なんだ。
俺のこと感情のないロボットとでも思ってるわけ？
この業界にいたら綺麗だなくらいは思うからね？！







涼介「 いや、んな怒んなよ……そのーアレだよアレ。」







手を使わずお茶を飲みながらいじけた目を向けると、先程は打って変わって困ったように笑ってた。

ただメイクが施された顔はどうやったって異次元だけど。








涼介「 これまで裕翔ってどんなに美人な女にも微動だにしなかったから。どんな人なんだろうなって」


「 それはもう雨上がりに掛かる虹のごとく純白の雪景色よりもあの人は美しいよ。もはや女神 」



涼介「 例えのクセが強えよバカ 」



「 えっ、ば、バカ？！え、今バカって言った？！」



涼介「 あーはいはい。ソーダネー。クソ気色悪いってイッタカナー 」


「 …ちょっと変えないで？！」









うるせえよ、と一蹴りされたので大人しく飲料水の消費を進める。

因みに俺が選んだのは緑茶でやまはコーラ。
なんていうか、予想通りというかキャラ設定しっかりしてるというか。




やまを本気でどこかの国の王子だと盲目してる女の子達に伝えたい。
もしもこの人がそのまま王様になったらロクな国にならずすぐに消滅すると。



ほんとその顔なかったら多分今頃捕まってるよ。ボーダーの服着ちゃってるよ。








涼介「 まあ、冗談はさておき……今度会わせろよその女神とやらに 」








ニヤッ、と意地悪く上げられた口角。
新しいオモチャを見つけたかのようなその表情にはよく覚えがある。


俺が最初にカメラのアシとして出会った日だ。
散々こき使われまくってなんかムカついたしこっちもこっちでほぼ最後は意地みたいなものだったけどどうにか乗り越えたやまが出してくる無理難題。









そしたらその日の最後「 お前、使える 」とお褒めの言葉をいただいた俺はまんまと俺様モデル様とお友達になりましたとさ。







涼介「 見定めてやろーじゃん。リョウスケ様直々に 」






いつになく楽しそうなやまに苦笑いを返して溜息を吐く。思い浮かべるのは、あの人の泣き顔ばかり。

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