雨宿りするなら君の胸の中で。 ytin

26. 涙心中 ページ26

yt side








「 本当に…いいんですか？」






シャツのボタンに手を掛ける前に、少し震えるあなたに問いかけた。
欲望と慈愛の最中で揺れる俺はどっちつかずで、正直彼に決めてほしいくらいだった。






慧「 …うん。いいよ 」







恋人に、なったはずなのに。
拭えない涙があるみたいだ。

あなたがまだ遠い。







シャツを脱ぎ落とし、白い身体が露わになる。









慧「 あんまり…み、見ないで？」









恥ずかしい、と赤面するからたまらなくなって抱きしめた。

柔らかい唇を指でなぞれば、分かりやすく目を潤ませる。
そっとキスを落としてく。何度も、何度も。








「 綺麗だよ。慧さん 」






世界で一番あなたが好きだ。
だけどこんな持て余してる好きも、あなたに届かない。







慧「 ……っあ、」








華奢な身体に執念く触れる。
指で触れて、舌を這わせ、掌で撫でた。



繊細な楽器みたいに鳴く。俺の指で、感じてる顔が嬉しくて執拗に攻めてしまうのは許してほしい。








今、あなたが俺を誰に重ねているのかは分からないけど…それでもいい。

ゆうとくん、と声にならない声で呼んでくれるだけで俺は幸せなんです。









心に棲みつくことさえできれば。どうしようもないときに頼ってしまうのが俺であれば。

依存してほしい。もっと執着して？







そしてそれが最後に、愛に変わればいいのに。









じゃないと、あなたを愛することすら、罪に思えてしまうよ。

抱きしめて、口付けて、声を漏らす度に涙さえこぼれそうになるのは何故だろう。









慧「 ゆ、と…くっ……あっ…」



「 けいさん、力、抜いて…っ？」








ぎゅっとシーツを握って、いじらしく俺に全てを預けるあなたが愛おしすぎて壊してしまいたくなる。
それが許されないことくらい俺は知っていて、だけどあなたにとってはまだ子供で。


彼の面影を追っている、慧さんに俺は見えていますか？





「 痛く…ないですか？」









ごめんね、なんて言ってしまえば最後。
あなたが消えてしまいそうで、壊れるくらい乱暴に抱いてしまう。








慧「 いたく、して…？」








そう言うあなたは、ほら、哀しい。







慧「 ぜんぶ、受け止めるから 」







だけど、哀しいくらい、綺麗なんだ。

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