雨宿りするなら君の胸の中で。 ytin

24. 愛じゃなくても ページ24

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慧「 ゆうとくん、」









彼からメッセージが来た三十分後。
仕事を終わらせてダッシュで待ち合わせ場所に。


だって、久しぶりなんですよ。
ねえ、分かってますか？







慧「 …っわ、…ゆ、ゆうとくんっ」








あなたから連絡が来ることを1ヶ月も待ってたんだから、これくらい許してよ。


そう、小さい子供みたいに彼を抱きしめた。









「 …急に告白したから、嫌われたんじゃないかって…」


慧「 ちがう。ちがうよ 」








「 あなたに嫌われたら、俺……生きていけない 」









俺の方が身長も高くて、体格差だって、華奢な慧さんとはあるのに。

やっぱり年の差のせいか、ぐずる子供みたいな俺をポンポン頭を撫でてあやすあなたが大人びて見える。




困ってる表情すら、愛おしい。








慧「 ……ごめんね、連絡しなくて。ちょっと色々考え混んでて 」


「 そう、だったんですか 」






首元に顔を埋めて、息を吸えば、彼の匂いがする。
甘くてだけど清涼感のある爽やかな匂い。

抱きしめるより少し唇が当たってしまうくらいの距離でいるこれは心臓に悪い。けど幸せだ。







夏が来そうな蒸し暑くて、だけどまだ肌寒くある夜の公園。
あなたの息遣いしか聞こえないような静けさの中、俺は、拳を握りしめた。








慧「 裕翔くん。」



「 …はい 」








下から両掌で頰を包まれる。
ふにゃり、と目を細めるとびきり可愛い慧さん。






瞬きをした刹那、唇に、何かが触れた。









慧「 好きです。俺と、お付き合い…してください」








公園に一本だけある蛍光灯に照らされた、真っ白な肌はいつもより赤くて。上目遣いの瞳も潤んでる。

破壊力抜群の表情に困惑しながら、頬にある掌に自分のを重ねて握った。








「 …絶対、もう、離しません 」








本当は俺から告白したかったけど。
一回もう振られてるけど。


だけど、だからこそ、もう、この手を離してあげない。








慧「 ふふ…裕翔くんの匂いだ 」






胸の中に収まるようにして抱き寄せれば、ふわふわ笑われた。







1ヶ月の間に、何があったの？
幼馴染さんは見つかったの？






慧「 あったかいね、裕翔くん 」









どうしてそんな…不幸せそうに笑うの。









慧「 あたたかいと、怖いよ。なくなったとき、寒くて死んでしまいそう 」









落ちる涙を、雨に溶かした。

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