マールブルグ病 ページ29
M.Yside
"兄貴のことで話があるから今から3Fのカンファ室にきて欲しい"
昼休憩に差し掛かる頃、風磨兄ちゃんからの連絡を受けて全身に緊張が走る
健人兄ちゃんはここ数日ずっと体調がおかしくて、風磨兄ちゃんがうちで精密検査を受けさせると言っていた
結果を話すだけなら家に帰ってからでもいいはずで、わざわざ院内で呼び出すあたり、何か良くない結果か、緊急入院とかになってしまったんだろうかと胸がざわつく
風「勝利も、マリウスも、仕事中に悪いな」
指定された場所に行くと、既に健人兄ちゃんを除いた3人が揃っていた
風「…じゃあ、ちょっと着いてきて」
このままここで話すと思っていたのに、風磨兄ちゃんはそれだけ言って先頭を切って歩き出す
ボクと勝利兄ちゃんだけ状況が掴めず、頭にハテナを浮かべながら後を追いかけ、辿り着いた先は
ICUだった
勝「……なんで…」
隣で勝利兄ちゃんの声が震える
ボクも言葉は出ないが心臓がバクバクと煩いくらいに鼓動して、冷や汗が止まらない
ピッピッピッ
風「…兄貴、勝利とマリウス連れて来たぞ」
マ「……っ!」
風磨兄ちゃんが声を掛けた人物の姿を見て絶句する
挿管され、モニターや点滴に繋がれて、風磨兄ちゃんの声にピクリとも反応しない健人兄ちゃん
辛うじてモニターから刻まれるリズムに生きていることを実感するが、目の前の事態を上手く飲み込めない
勝「……どうして…何が、あったの…」
目に涙を一杯に溜めた勝利兄ちゃんが声を発する
その声も可哀想なくらいに震えていた
風「…お前たちも知ってるとは思うけど、今日絶対に兄貴を検査に連れて行こうと思ってたんだ。だけど説得途中に吐血して意識消失して」
マ「…っ」
風「救外に運んで色々処置したんだけど、原因が分からないままみるみるうちに状態悪くなって、うちに来てものの10分くらいで…っ…ショック状態に、なって……心停止、して…っ…戻ったけど…対症療法しか出来て、ないから……次、いつ同じことが起こるか…っわかんない…」
途中から涙を溢し、声を詰まらせる風磨兄ちゃん
勝「うそ…っ嘘だ、そんなの……」
声を震わせながら嘘だと繰り返し、大粒の涙を流して風磨兄ちゃんに詰め寄る勝利兄ちゃん
ボクも涙が止まらなくて、健人兄ちゃんに縋り付いて震えながら泣き叫ぶ
だけど、いつも優しくボクの頭を撫でてくれる手は、ボクがどれだけ強く握っても、握り返してくれることはなかった
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紫苑(プロフ) - 紗瑛さん» お返事遅くなり申し訳ございません。嬉しいお言葉ありがとうございます。更新頑張ります! (2021年8月18日 19時) (レス) id: 39722e53c4 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 空楽さん» お返事遅くなり申し訳ございません。そのように言っていただけて光栄です!8月後半は更新頑張りますのでまた呼んでいただけますと幸いです! (2021年8月18日 19時) (レス) id: 39722e53c4 (このIDを非表示/違反報告)
紗瑛 - 更新楽しみにしています! (2021年8月12日 21時) (レス) id: 2dcb5022ff (このIDを非表示/違反報告)
空楽 - 更新楽しみにしてます! (2021年8月7日 1時) (レス) id: 86d36c49a2 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - SZ*青薔薇さん» いつもコメントありがとうございます!共感して頂けて嬉しいです!笑 青薔薇さんの作品もいつも楽しみにしています!これからも応援してます! (2021年8月2日 0時) (レス) id: 39722e53c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫苑 | 作成日時:2021年7月3日 2時