セクゾ兄弟はお医者さん

腸閉塞 ページ13

F.Kside



北斗「風磨？！お前今日休みなのになんでいんの？」



救外のスタッフステーションに顔を出すと、俺を見るなりオーバーリアクションを返すこの男
こいつは松村北斗。同じ救外で働く看護師で、俺と同期入職、聡にとっては直属の先輩に当たる人物だ




風「北斗、ちょうどいいところに！
悪いんだけど勝利が家で吐いちゃってさ、今車で連れてきて処置室で休ませてるから、対応手伝ってくんない？」

北斗「まじ？いや、今日うち出勤人数多いし手は空いてるから全然いいんだけど……勝利どんな感じなの？風邪？」

風「いや、たぶんイレウス
腹部レントゲンとCTは依頼かけたからそのうち呼ばれるはず。吐いたしイレウスチューブになると思うけど、とりあえず脱水防ぎたいから輸液頼む」

北斗「了解」


急な依頼にも関わらずすぐに理解して対応してくれるあたり、本当に頼りになる同期だ







風「勝利悪い、ちょっと苦しいけど我慢して」



検査の結果は予想通りイレウス

それも数日間違和感を感じながらも無理してご飯を食べていたこともあり、かなり内容物が溜まっていて、腸内を減圧する必要があった

出来れば絶飲食と輸液だけで治してやりたかったが、今は症状改善が優先だ



勝「…っ…どうしても、やらなきゃダメ？」

風「うん、どうしても」



意識はしっかりある分余計に辛いとは思う
正直処置をする俺的にもかなりしんどい



北斗「サッと終わらせてやった方がいいでしょ
勝利、辛いけど頑張ろう」



冷静な北斗の言葉に背中を押されて、勝利の鼻にチューブを差し込んでいく
途中何度もえずいているのが兄としては見ていられないくらい可哀想で、ただ、かと言って途中で手を止める方がもっと辛いのがわかるので、プレッシャーを感じながらもなるべく早く終わるように、俺は挿入する手を早めた




風「よし、終わり！」




独特の緊張感から解放されて思わず声が出る
勝利は目に涙をいっぱい溜めてはいるが溢れてはいなくて、本当に忍耐強いなと感心してしまった



風「頑張ったな、とりあえずこれで自然と減圧されて気持ち悪さもマシになってくると思うから
あとは暫く飯食べれないけど、そこだけ我慢だな」

勝「わかってる、大丈夫だよ」





しんどい時まで物分かりがいい弟に少々面食らってしまうが、こういう時くらい本当にゆっくり休んでほしいと思う

小さい勝利の頭をくしゃくしゃと撫でて、俺は他の兄弟に連絡を取るために部屋を後にした

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