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第五十七話 首領の勘 ページ14

――足早に立ち去った彼女。


その姿が扉の奥に消えた後。
傍に置かれているミニテーブル上の小包を持つ。

日付が変わった瞬間に、渡そうと思っていた。
もう少し長く喋って時間を稼ぎたかったがつい、感情的になってしまった。

それと。

――何か嫌な予感がする。
この様な立場になると、何か仕出かす輩は大体分かる。

嘗ての経験がそれを語る。

そう考えた瞬間、私の足は動いていた。
油の様に粘っこい汗が頬を伝う。

Aちゃんは自室にいると謎の確信があった。
だからこそ、追いかける――厭。

追い越すつもりで走った。

やけに静かな廊下を進み、ノックもせずAちゃんの部屋の扉を開けた。


「Aッ…………ちゃ……ん?」


ただでさえ丸くて可愛い目を丸くする彼女。
ただ、その可愛い少女の手の中には天井からぶら下がる縄があって――


「………………何を、して……」
「……ぁ……これは」


「――何をしているんだ!」


持って来てしまっていた小包を投げ出し、走った。
その勢いのまま彼女の肩を掴み押し倒し、馬乗りになる。

床に頭を打ったのか、彼女は小さく痛みに喘ぐ声が聞こえた。


「どうしてこんなことをした!」


真っ直ぐ、彼女を見つめ、問いただせば、
潤んだ瞳が私をとらえる。


「ッ、首領が!
 貴方が、私を殺して、くださらないからぁ……」


そこで初めて――


彼女が泣いたのを見た。


大粒の涙を、いっぱい流すのだ。


「私は、首領に、愛されない位なら……死んだ方が、マシです……」
「…………は……?」


 


(四十にして惑ふ。)

第五十八話 アムール→←第五十六話 終端の時は近い



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 森鴎外 , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
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臣民(プロフ) - みぃさん» ここまで閲覧して頂き、誠に有難う御座います! 私が書く森さんはただでさえぶっトんでいるのに次回作は更にそれを加速させそうです(苦笑) 少女漫画の様にまたキュンキュンとさせられることを目標に、頑張ります! (2018年7月16日 13時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 幸せな終わり方でしたね!! キュンキュンしました! 次回作楽しみにしています! 完結お疲れ様でした! (2018年7月16日 7時) (レス) id: d688bcfef3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:臣民 | 作成日時:2018年5月27日 18時

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