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第五十五話 すれ違い ページ12

――とある廃ビル内の元オフィス。

……と、思われる場所の入り口近くの壁。
そこに私は寄りかかっていた。

脳内で仕事内容を反復して思い出す。


――『……残念だけど、それは聞けないお願いだよ』


首領はそう言った。
よくよく考えれば、それは当然のコト。

私はポートマフィアの暗殺者。
ならば――

――“最期まで仕事をしろということだろう”。

愛する首領のために、私は従う。
でもそれは、愛されなくなることに繋がる。


――『“本当に愛しているのなら、君は愛されなくなる”』


こういう、ことだったのですか。
……あの人には何でもお見通しなんですね。

苦笑しつつ壁から、すでに無いドア奥を覗けば、視線の先に一人の男性がいた。
数ある裏社会の内の一組織の将官だ。

軍服のような格好をし、違法よろしく帯刀をしている。
窓から差し込む月に照らされ、帽子のバッチが光る。

その横顔は、どこか焦ったような様子だ。

周りに人の気配はない。
そうなるように、手配したのだから。

――人に知られたくない情報だらけの偉い人物ほど会いやすい。
――裏社会の者であれば、なおさら。

心を決め、持ち前の神速で突撃する。

男性が私に気付くがもう遅い。
既に首を切られた後だ。

だが首は落ちない。

――私は、綺麗な花、蝶が好きだ。
それと同じく、綺麗に死なせたいという願望を持つ。

つまりは、“抱き首”だ。

前は感情のまま短刀を振ってしまったが、
今は酷く落ち着いて首を斬れた。

――室内で長刀を使うことは致命的なミスだ。
矢張り短刀に限る。

そして、嗚呼。

接吻はもうしない。
クイックシルバーは、もういない。


いるのは、ただの――


 


(迷える子羊(おとめ)のみ)

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 森鴎外 , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
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臣民(プロフ) - みぃさん» ここまで閲覧して頂き、誠に有難う御座います! 私が書く森さんはただでさえぶっトんでいるのに次回作は更にそれを加速させそうです(苦笑) 少女漫画の様にまたキュンキュンとさせられることを目標に、頑張ります! (2018年7月16日 13時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 幸せな終わり方でしたね!! キュンキュンしました! 次回作楽しみにしています! 完結お疲れ様でした! (2018年7月16日 7時) (レス) id: d688bcfef3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:臣民 | 作成日時:2018年5月27日 18時

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