第三十六話 奇襲 ページ38
――聞こえた足音に素早く身を翻し、メスで応戦する。
「くっ……!」
相手の短刀がメスを上から押さえつけ、ガチガチと擦れあう音がする。
――このままでは、圧し負ける。
手の疲労を感じ、メスを横に払う。
投げ飛ばされたメスは壁にぶつかり、床へ。
懐に手を突っ込みながら爪先に力を込め
大きく二三歩、後ろへ下がる。
足を踏ん張り、動きを止めると同時に新たな大量のメスを投擲。
それらは綺麗な一文字の列を組み、空間を裂く。
「――はッ!」
刺客は短刀で向かって来た刃を叩き落とす。
落とされた二本のメスが地に着く前に、
落とした手とは反対の手の指の間に挟むと
一回転をし、私に投げつける。
「なッ……!?」
予想外の動き。
素早く顔を反らすと、眼前を通り過ぎる金属。
一瞬だけ、金属内の自分と目が合った。
が、刹那。
視界の下で“何か”がきらりと輝く。
咄嗟に両腕を背中の方を向け、地を蹴り上げバク転をする。
反動で後退したあとに居た場所を見れば、
短刀がそこに突き刺されている。
刺客の温度の無い瞳が私を睨む。
ある程度暗闇に目が慣れたこともあり、
その姿を確認できた。
だが、
――?
――――待て、この、“刺客”は。
――――此の、少女は……!
少女は短刀を床から引き抜くと、構え直す。
再び確認するが、“その事実”は変わらず。
「…………参ったねえ」
――……嗚呼、矢張り、この少女は、見覚えがある。
あゝ、少女を傷つけるのは好きではないのだけれど。
――“次”は無い。
(光る刃、双つ)
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蒼(プロフ) - 1でお願いします! 更新頑張ってください!!続き楽しみにしてます!! (2018年4月8日 21時) (レス) id: 7443137317 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - みぃさん» 原作第五十話に続くような形で書かせて頂きました。二三回読める話をモットーとしておりますので、深く考えていただけたら嬉しい限りです。更新頑張ります! (2018年4月7日 11時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 最後ので涙がブワッと…エリスちゃぁぁああん!! 更新楽しみにしています! (2018年4月5日 16時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - **楼椛**さん» いえいえ!応援有難う御座います。たっぷりお楽しみください! (2018年3月26日 20時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
**楼椛** - 初コメ失礼します!今日初めて拝見させていただいたのですが、とても面白いです(ありきたりな言葉ですみません) 更新頑張ってください!これからも森さんを楽しみにしてます!←← (2018年3月26日 19時) (レス) id: e7e0abd8b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:臣民 | 作成日時:2017年10月22日 9時