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第三十三話 バグ ページ35

――目の前の“少女”を見て、鳥肌がたった。


思わず手を離し、後退る。

彼女は視界の奥に片喰(ハート)を浮かべ、
今にも蕩けそうな恍惚とした表情(かお)をする。

大嫌いで大好きな目。

――(オス)を誘う(メス)の目。


昔から、女には困らなかった。
女は決まって、優しくされるとあんな顔をする。

そして、“昔”から彼女は然うだった。
ふとした瞬間に、エクスタシィの熱に溺れていた。


「前から思っていたのだけれど……。
 どうして君はそんな顔をするんだい?」


そう云えば、“彼女”の顔は“Aちゃん”の顔へ切り替わる。


「……好きに、なってしまうから」


目を伏せて、蚊が鳴く様な声で呟く。


「それはAちゃんの“過去”に、関係があるのかなぁ?」


子供をあやすような優しい声で話しかける。
じっと見つめて待てば、


「…………そう……ですね」


答は返ってくる。


「そうかい」


分かるよ、なんて心にも無いことを云いながら
彼女の背を押して社長の椅子に座らせる。

私はというと、椅子の前の机の反対側……
(もとい)、彼女と机を挟んで向かい合う場所に立つ。


「好ければ、聞かせて欲しいな。其のこと。
 大丈夫、誰にも言わない。 秘密にするよ」


にっこりと笑えば、矢張り年頃の子。
ゆっくり口を開く。

自分ことを、自分の恋を語りたくてたまらないのだ。
少女であれば、尚更。


「……………………あれは、まだ。
 私に両親が居た時のことです」


 


(私が聞いても、口を閉ざしたままの捕虜が一人でもいたっけ?)

第三十四話 Vergangenheit→←第三十二話 嫐



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 森鴎外   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 1でお願いします! 更新頑張ってください!!続き楽しみにしてます!! (2018年4月8日 21時) (レス) id: 7443137317 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - みぃさん» 原作第五十話に続くような形で書かせて頂きました。二三回読める話をモットーとしておりますので、深く考えていただけたら嬉しい限りです。更新頑張ります! (2018年4月7日 11時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 最後ので涙がブワッと…エリスちゃぁぁああん!! 更新楽しみにしています! (2018年4月5日 16時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - **楼椛**さん» いえいえ!応援有難う御座います。たっぷりお楽しみください! (2018年3月26日 20時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
**楼椛** - 初コメ失礼します!今日初めて拝見させていただいたのですが、とても面白いです(ありきたりな言葉ですみません) 更新頑張ってください!これからも森さんを楽しみにしてます!←← (2018年3月26日 19時) (レス) id: e7e0abd8b6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:臣民 | 作成日時:2017年10月22日 9時

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