ささえあい。 (ページ43)

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すっかり楽しんだ私達は蒸し暑い夏の暑さと戦いながら宿舎に着いた。幸い、誰もダウンする事はなく程よい気持ちよさを残して解散した。

『……』

あぁ…こうなるんだよね。
マサさんと飲んでいるとそんな事なかったんだけど東レの皆と飲んだ後は違っていて、寂しくなってしまった。それでも誰かに迷惑を掛けたくなくて、一人寂しく携帯のフォルダにある昔の写真を漁ってた。今日はマサさんも居たし寂しくならないかなと思ってたけど、やっぱりというべきか、寂しくなってしまった。
本当…前を向いているのに、こうも人はアルコールを前にすると弱くなるのか…嫌だなあ。さっきまではあんなに楽しかったのに。

『っ…だめだめ』

泣いちゃダメだ。
電話が掛かってきたので失礼します、と宿舎の外で私だけ解散したけど、本当は電話なんて来ていない。楽しかった時間が終わってしまうのと同時に例の寂しさが襲って来て、それを知られたくなかったから一人になりたかっただけだ。静かな夜の中に虫の声が響いて、また更に寂しさを演出する。
だから、鼻を軽くすすり涙が零れないように上を向く。綺麗な星空だ。東京でも星が見えるんだから思わず願っちゃう。

『昴くん…会いたいよ…』

好きだから、とかじゃなくて、助けが欲しい。
私、どうすれば強くなれるかな。

強くなればこんな寂しい気持ちにならないはずだ。もっと堂々と龍神NIPPONのマネージャー兼心理カウンセラーだと胸を張れるはずだ。もっと皆を支えられるはずだ。もっとマサさんの支えにもなれたはずだ…

『ねえ…何で私、弱いのかな…』

「Aちゃん」

『！』

ビックリして後ろを振り返った。

『……マサさん』

皆と一緒に手を振って宿舎に戻ったはずのマサさんが後ろに居た。

「…水飲む？」

差し出されたそれは丁寧にキャップが緩められていた。飲んでないから、新しいやつ、そう言われながら受け取ってはまた思い出されるあの日の記憶。

『…覚えてる？面会時間ギリギリに猛ダッシュで駆け込んだ時、マサさん同じようにお水くれた』

「……覚えてる」

二人で近くのベンチに座り、暫く虫の声に耳を傾けた。