ささえあい。 (ページ13)

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昴くんが天国へと旅立って節目の日が訪れると私と柳田さん…否、マサさんは昴くんの実家に行く。
これは勿論、恒例行事にするつもりだ。私やマサさんがいくら悲しみの涙を流してもご両親の苦しみには到底太刀打ち出来なくて、比べ物にならないくらい深いものだと痛感する。

「Aちゃん、いつもいつもありがとうね」

力なく御礼を言うおばさんは前よりも確実に窶れていた。彼女の私よりも産みの親の方が苦しいんだ。きっと丈夫に産んでやれなくてごめんね、なんて思っているんだろう。

『あの、慰みにも何にもならないんですけど、聞いてくれますか』

そんなおばさんに少しでも前を向いてほしくて、思っている事を話した。

『人は二度死ぬ、といいます。一度目は肉体的な死、二度目は忘却による死。私達が忘れなければ、昴くんは二度目の人生を歩んでいけるんです。だから私達は毎年、必ず来ます。日本代表と所属チームの中に、ちゃんと昴くんの思いは受け継がれています』

だから、もう笑いましょう。

最後にそう言ってそっとおばさんの手を取った。おばさんはいつかの私のように涙を浮かべた優しい笑顔を向けてくれた。そんなおばさんからも私に言いたい事があると言われた。

「昴の事をこんなに支えてくれてありがとう。でもあなたはあなたの人生を歩んで。きっと昴もそう願ってるわ」

それは、ずっと昴くんに固執しないでとでも言われているようだった。

「彼女の」ではなく「彼女だった」と言いなさい、みたいな。

昴くんを想っているからこそ、この恋には終わりを告げなければならない。昴くんが好きだからこそ、おばさんや昴くんには前に進もうとしていないように見えているんだ。
二人はそれを望んじゃいない…それをほとんど全て理解すると、自然と涙が頬を伝った。

『…はい』

でも、節目には来させて下さい。

最後はちゃんと笑って言った。