12両目 ページ12
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翌朝は梅雨らしくしっかりとした雨で
勇気が無くて決めかねていた私に神様が
バスに乗りなさい、あの電車に乗りなさいって言ってるみたいだと思った。
ウルサイくらいの胸を抱えてバスに乗る
心臓が痛いくらい踊ってる
雨の日の満員電車は不快指数200％だけど
今日はそれどころじゃない
ソワソワして胸が痛くって
すっごく緊張して電車を待つ。
滑り込んできたいつもの電車
キュっとローファーの踵を鳴らして乗り込む。
そっと周りを見渡して見る
沢山の人
くっと背伸びをしてみる
キョロキョロと周りの人には迷惑なくらい頭を左右に動かす
体をひねって前後も見てみる。
でもどんなに探しても
駅で人の流れが変わる度に目を凝らしても
二宮さんはいなかった。
とぼとぼと電車から降りる
もう会えないんだなと思う
二宮さんに会って知ったいろんな気持ちが心の中で暴れてる。
小説やドラマならここで会えるんだろうな
会えないってことはダメなんだろうな
お守りの入ったカバンをぎゅっと握りしめて傘をさした。
私の気持ちは土砂降りだけど
夕方には雨は上がり、学校の後予備校へいつものように行く
その日は講習が多くて、少し遅い電車に乗り込んだ。
そんなに混んではいない車内
立ったまま英語の問題集を眺める
ふと、ガラスに映る自分の背後に
そんなに混んでない車内なのにぴったりくっついてくる男の人
えって思って
つり革を持ちかえて体をずらす。
でもその人も電車の揺れを利用してまた引っ付いてくる。
前の座席の人達はみんなスマホをさわっていたり眠り込んでいたり
どうしよう、どうしようってパニックになる
でも、でもここで泣いてたらお子様な私のままだ
いつまでもお子様な私だ
きゅっと顔を上げて
くるっと後ろを振り向く
勇気を出してその人の方を見る
その人を強く見た。
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作者名：雪月
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=verbena
作成日時：2014年6月8日 0時
