僕らのヌナは、今夜も僕らの夢を見る[SVT]

＃脳のキャパ　有意義な使い方 ページ4

＿＿スングァン side



「スングァン氏…もう一度発音のチェックをして頂いてもよろしいですか…？」

宿舎のリビングにいるとまだ朝だと言うのにヌナはきっちりメイクで僕に近づいてきた。
その手の中には”台本”がある。
台本ったって僕らがよく目にするバラエティーのじゃない。

れっきとしたドラマの”台本”。

「ヌナ、また夜通しやってたんですか？
ってかカムバ期間にくるドラマのお仕事は断るって言ってませんでした？」

「だって！！！君たちがあまりにも尊くなるから！！！
私だってなんかしないとグループから消されるでしょ！！！」

深夜テンションを超えておかしくなったわけじゃない。
これがヌナの通常運転だ。少なくとも宿舎では。

「ヌナ、いいですか？
ヌナもすごくきれいなんですよ？
だから無理しすぎないでください」


僕のこういったたぐいの言葉でヌナの気が収まらないのは経験則で知っている。
幼少期からかわいいかわいいって言われすぎたせいだと僕たちは踏んでいる。

まじでヌナの幼少期はかわいい。

メンバーの中でジュニヒョンとヌナだけは幼少期からマスメディアに写真があるから
それを探してプリントアウトしたら『新手のいじめ？』って怒られたから密かに保管している。

「…スングァナ、教えてくれるの？くれないの？」
「教えますよ！ってかヌナの発音おかしくないですよ」
「でも心配で…最終チェックしてください」


小さい頃から子役をやっているだけあって
デビュー後、韓国のドラマでも一躍有名になり
僕たちのペンの中にはドラマでヌナを知ってそこから沼にハマった人も多い。

今ヌナがやってるドラマは学園モノで
ヌナは主人公の女の子に意地悪をする学園の女王様ポジ。

そんな役回りのオファーが来るのは美人と相場が決まっているのに。


「セリフの量多いですね」

台本をペラペラっとめくっただけでも相当線が引かれている。


「あ、それはヒロインの男の子がかっこいいからついでにセリフ覚えてるの」


才能の無駄遣い、という言葉が脳裏をよぎった。

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