僕らのヌナは、今夜も僕らの夢を見る[SVT]

＃拝啓あの時の私 ページ11

＿＿＿you side




『ちょっといつの間に大きくなっちゃって〜！
あれ、今何歳だ？一緒にドラマやった時10歳だったよね？…ってそんな前か』

俺も年取るわけだわ、って眉をハの字にして笑う翔くん、素敵です。

『元気にしてた？全然連絡くれなかったじゃん』
『う＿＿はい！』
『いいよ、敬語じゃなくて！
俺結構Aの事気にしてたんだけどさ、
テレビで見る時だいたいお前すんごいおとなしいんだけどあれなんで？』

さすが10年来のお兄さん、察しがよろしいようで。

『テレビではキャラが大事なんですよ〜』
『いや10代の頃からオタク明言してたおませさんがあのキャラって…。
…大丈夫？辛いことない？』
『…翔くん。久しぶりに生で見たら大人の色気増してて耐性ない…』

そう言うと少し心配そうにしていた顔をふっと緩めて

『良かった、変わってないね。
お前のそれあの子達は知ってんの？』

ってチラッとクリクリのビー玉お目々をメンバーに向けた。

『残念ながら隠しきれませんでした』
『ふはっ安心したわ』

私と翔くんが共演した時、翔くんはちょうど今の私くらいの年だったんだと思うと
時間が立つのが早いような気がした。

私は今の翔くんの年になる頃、こんなふうに人を気づかえる人になってるかな。



『リハ入りまーす！』

ADさんらしき人が大きな声でそう言って翔くんの方を見た。

打ち合わせでもあるんだろう。

『じゃあ翔く『あの時のことだけどさ』

翔くんが私の言葉を遮った。
私の脳と、翔くんの脳に浮かんでる”あの時”は同じである自信がある。

『今でも後悔してる。なんで言い返してやれなかったんだろう、って』

やっぱり同じだった。
十数年前のドラマの撮影現場がフラッシュバックする。

”あのなぁ、かわいこぶるな”
”日本国民の娘、って言われてんのは
お前の顔面が可もなく不可もなく一般的だからだよ”



拝啓あの時のドラマ監督様。お元気でしょうか。



『ふふ、大丈夫だよ翔くん』



昨年は日本アカデミー賞をとりあがってましたね。



『こちとら順調にこじらせてるから』

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