検索窓
今日:14 hit、昨日:58 hit、合計:53,004 hit

8 ページ9

どうしよう……



周りを見回しても、倒れている人しかいない。





……とりあえず、キッドがよく行く屋上へ行ってみよう。



外の空気も吸いたいし。








部屋を出た私は、屋上へと続く階段を駆け上がった。









.









扉を開けると、ひんやりとした風邪が頬を掠める。



春でもやっぱり、夜は寒いみたい。






そのとき、ヒュォォォと一際強くて冷たい風が吹いた。




その冷たさに驚いて顔を上げると、そこには──────……



















ひらひらとマントをたなびかせ、月にブラックダイヤモンドをかざす彼────怪盗キッドがいた。















「……こんばんは、お嬢さん」






こちらに気付いたらしい彼は、私を見て少し驚いた表情で言った。






「……こんばんは」






そういえば、中森警部はどうしたんだろう…



あの後キッドを追いかけていったのだろうけれど、その姿はどこにも見当たらない。





途中でキッドに眠らされたのだろうか。


















「お嬢さん……とても綺麗な瞳と髪をお持ちですね」





キッドは私を見つめながらそう言った。








「ありがとう……でも、貴方のその澄んだ瞳の方が綺麗」






─────……そう、黒羽くんのような。





キッドの顔はモノクルとシルクハットで隠れているけれど、その雰囲気は黒羽くんにとても似ている。







「……ありがとうございます」






暫くの間、私達は言葉を交わすことも無く、じっと見つめ合った。




それはとても穏やかな時間で、永遠に続けばいいと思うほどだった。


















そのとき。





背後からバァンと扉の開く大きな音。





驚いて振り返ると、そこには息を切らせた中森警部。






「怪盗キッド……!」






中森警部の叫びは気にすることもなく、キッドは私に向かってブラックダイヤモンドを投げた。
















「この宝石は目当てのモノではなかったのでお返しします」








落とさないようにしっかりと受け取ったダイヤモンド。




それは、月の光を反射してとても綺麗に輝いていた。


















「それでは………またお会いしましょう」







そう言って中森警部の制止に構うことなく、たくさんの星が輝く夜空へ飛び立っていった。









.









.

9→←7



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (52 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
146人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 怪盗キッド , 黒羽快斗   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

華美 - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 初期の頃からですか!ありがとうございます嬉しいです!これからも頑張ります〜 (2019年6月21日 19時) (レス) id: 06514a18af (このIDを非表示/違反報告)
木実こむぎ@Project KZ副隊長(プロフ) - うわぁぁあ( ;∀;)終わってしまった、、、初期の頃から読ませていただいてました!番外編待ってます!( ´ ▽ ` )ノこれからも頑張ってください! (2019年6月21日 18時) (レス) id: 7f9bbdec25 (このIDを非表示/違反報告)
華美 - 雨上がりのcrewさん» わわ、ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年6月19日 10時) (レス) id: 06514a18af (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください!! (2019年6月16日 15時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:華美 | 作成日時:2019年5月7日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。